火災保険と地震保険の違い|補償範囲・保険料・支払い方法を比較
この記事のポイント
火災保険と地震保険の違いを補償範囲、保険料の決まり方、保険金の支払い方法の3つの観点で専門家が解説します。地震保険の上乗せ特約についても紹介します。
火災保険と地震保険は名前が似ていますが、仕組みが大きく異なる保険です。「地震保険は火災保険と何が違うの?」「地震保険には入った方がいいの?」と悩む方は少なくありません。
結論として、火災保険は各保険会社が独自に商品化した保険で実際の損害額を支払うのに対し、地震保険は政府が管掌する制度で4段階の定額払いとなり、保険会社による違いはありません。この記事では、火災保険と地震保険の違いを補償範囲、保険料、保険金の支払い方法の3つの観点で専門家への取材をもとに解説します。

火災保険と地震保険の基本的な違い
火災保険と地震保険は、そもそもの成り立ちと仕組みが異なります。
運営主体の違い
| 項目 | 火災保険 | 地震保険 |
|---|---|---|
| 運営主体 | 各保険会社 | 政府管掌制度 |
| 商品設計 | 各社独自の商品 | 全社統一 |
| 保険料 | 保険会社ごとに異なる | 全社同一 |
補償範囲の違い
火災保険と地震保険では、カバーする損害の範囲が大きく異なります。
火災保険の補償対象は以下のとおりです。
地震保険の補償対象は以下のとおりです。
- 地震による建物の倒壊・損壊
- 地震によるひび割れ
- 地震による火災
- 津波による被害
保険金の支払い方法の違い
火災保険と地震保険では、保険金の支払い方法が根本的に異なります。
火災保険は実損払い
火災保険の保険金は、実際に発生した損害額に基づいて支払われます。例えば台風で屋根が壊れた場合、修理にかかる費用が損害額となり、免責金額を差し引いた金額が保険金として支払われます。

火災保険の保険金は修理しなくても受け取れますか?
地震保険は4段階の定額払い
地震保険の保険金は4段階の定額払いで、損害の程度に応じて以下のように支払われます。
| 認定区分 | 支払い割合 | 具体例(保険金額500万円の場合) |
|---|---|---|
| 全損 | 保険金額の100% | 500万円 |
| 大半損 | 保険金額の60% | 300万円 |
| 小半損 | 保険金額の30% | 150万円 |
| 一部損 | 保険金額の5% | 25万円 |

地震保険の鑑定方法
地震保険の損害認定は火災保険とは大きく異なります。
原則として現地調査が行われる
火災保険の場合は写真による判断が中心ですが、地震保険では原則として鑑定人による現地調査が行われます。この違いは大きなポイントです。
| 項目 | 火災保険 | 地震保険 |
|---|---|---|
| 調査方法 | 写真による判断が中心 | 原則として現地調査 |
| 調査者 | 保険会社の損害担当者 | 鑑定人が現地に派遣 |
| 判定方法 | 実際の損害額を算定 | チェックリストで4段階判定 |
鑑定人の役割については火災保険の鑑定人で詳しく解説しています。
地震保険の保険金額の設定
地震保険の保険金額には独自のルールがあります。
火災保険の30%〜50%の範囲
地震保険金額は火災保険金額の30%〜50%の範囲で設定する必要があります。

50%では不足する場合の対策はありますか?
地震上乗せ特約の選択肢
地震保険だけでは補償が不足する方のために、一部の保険会社が上乗せ特約を提供しています。
- 一部の保険会社では、地震上乗せ特約により地震保険と合わせて最大100%の補償を受けられる商品を提供しています(※地震上乗せ特約の付帯には追加の保険料が必要です)
- また、地震火災費用をアップグレード(5%→30%または50%に変更可能)できる商品を提供している保険会社もあります
地震保険に加入すべきかの判断基準
地震保険への加入を検討する際のポイントを整理します。
判断のポイント
地震保険の加入を特に検討すべき方は以下のとおりです。
- 新築の建物を所有している方(建て替え費用が高額になるため)
- 南海トラフなど地震リスクの高いエリアに住んでいる方
- マンションの区分所有者(共用部分の復旧費用の負担があるため)
- 住宅ローンの残債が多い方
東日本大震災から学ぶ地震保険の重要性
実際の大規模地震での事例から、地震保険の重要性を理解しましょう。
マンションの合意形成問題
地震保険に救われた事例
地震保険に加入していなかった方は、自費で復旧するかお金を借りるか、あるいは諦めて引っ越すしかないという厳しい選択を迫られるケースもありました。
地震保険の加入率
地震保険の加入状況も押さえておきましょう。
※付帯率は損害保険料率算出機構の統計に基づく数値です。

地震保険の加入率が60%強ということは、約40%の方は未加入ということですか?
マンションの地震保険については地震保険とマンションで詳しく解説しています。
火災保険と地震保険の保険料の違い
保険料の仕組みも大きく異なります。
火災保険の保険料
火災保険の保険料は以下の要素で決まります。
- 建物の構造(木造、鉄骨、鉄筋コンクリートなど)
- 所在地(都道府県)
- 築年数
- 保険金額
- 補償内容(水災の有無など)
- 保険会社の料率
保険会社によって保険料が異なるため、複数社の比較が重要です。
地震保険の保険料
地震保険の保険料は全ての保険会社で統一されており、以下の2つの要素だけで決まります。
- 建物の構造(イ構造またはロ構造)
- 所在地(都道府県)
火災保険の保険料については火災保険の値上げで詳しく解説しています。
地震保険料控除について
地震保険には税金面でのメリットもあります。
地震保険料は年末調整や確定申告で所得控除の対象になります。控除額は以下のとおりです。
- 所得税: 最大50,000円の控除
- 住民税: 最大25,000円の控除
(※2026年2月現在の税制に基づく情報です。最新の控除額は国税庁のウェブサイト等でご確認ください)
控除証明書の取り扱いについては火災保険の控除証明書で解説しています。
この記事のまとめ
- 火災保険は各保険会社の独自商品、地震保険は政府管掌の統一制度
- 火災保険は実損払い(実際の損害額)、地震保険は4段階の定額払い
- 地震保険金額は火災保険金額の30%〜50%の範囲で設定する
- 地震保険の保険料と補償内容は全ての保険会社で統一されている
- 50%では不足する場合は一部の保険会社が提供する地震上乗せ特約が選択肢
- 地震保険は原則として鑑定人による現地調査で損害を認定する
- 地震保険料は所得控除の対象(所得税最大50,000円、住民税最大25,000円)
- 地震保険の付帯率は60%強(2024年度時点)で、未加入のリスクも考慮が必要(出典:損害保険料率算出機構)
よくある質問
火災保険と地震保険の一番大きな違いは何ですか?
火災保険は各保険会社が独自に商品化した保険で、実際の損害額を保険金として支払います。一方、地震保険は政府が管掌する制度で、全損・大半損・小半損・一部損の4段階の定額払いです。保険会社による保険料や補償内容の違いはありません。
地震保険だけで加入できますか?
地震保険は単独では加入できません。火災保険に付帯する形でのみ加入が可能です。地震保険金額は火災保険金額の30%〜50%の範囲で設定します。
地震保険の保険金額が火災保険の50%までしか設定できないのはなぜですか?
地震保険は政府が再保険を引き受ける制度であり、大規模地震で支払額が巨額になるリスクがあるため、火災保険金額の50%が上限とされています。不足分を補うために地震上乗せ特約を提供している保険会社もあります。
地震保険の上乗せ特約とはどんな補償ですか?
一部の保険会社が提供する地震上乗せ特約では、地震保険と合わせて最大100%の補償を受けることができます。南海トラフなど地震リスクが高いエリアの新築物件などで検討される方が多い特約です。
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