火災保険のいらない補償とは?外してよい補償と残すべき補償
この記事のポイント
火災保険の保険料を抑えるために外せる補償と、外すべきでない補償を解説します。水災、地震保険、破損汚損など補償ごとの判断基準を専門家が解説します。
「火災保険の見積もりが思ったより高い。何か外せる補償はないだろうか」このように考える方は多いのではないでしょうか。
実は、火災保険にはお住まいの環境やリスクによって外しても問題ない補償と、外すべきではない補償があるのです。保険料を安くしたいという理由だけで補償を外すと、いざという時に大きな自己負担が発生する可能性もあります。この記事では、火災保険の補償ごとの必要性を専門家への取材をもとに解説します。

火災保険の補償構成を理解する
火災保険の補償を外すかどうかを判断するためには、まず全体の構成を把握することが大切です。
基本補償と選択補償
火災保険の補償は大きく「基本補償」と「選択(オプション)補償」に分かれます。
| 区分 | 主な補償内容 |
|---|---|
| 基本補償 | 火災、落雷、破裂・爆発 |
| 選択補償 | 風災、水災、水漏れ、盗難、破損・汚損 |
基本補償の「火災、落雷、破裂・爆発」は多くの火災保険に含まれており、外すことはできません。保険料を調整するのは、選択補償と特約の部分です。
特約(オプション)
基本補償や選択補償に加えて、以下のような特約を付帯するかどうかも保険料に影響します。
保険料に最も影響する補償
補償を外して保険料を下げたい場合、どの補償が保険料に大きく影響するのかを知っておくことが重要です。
地震保険の影響が最も大きい
保険料に最も大きな影響を与えるのは地震保険です。
地震保険は火災保険とは異なり、政府が管掌する制度です。保険金額は火災保険の30%から50%の範囲でしか設定できないにもかかわらず、保険料は高額になります。そのため、保険料を安くしたい方がまず検討するのが地震保険の付帯有無です。

地震保険は外しても大丈夫ですか?
地震保険を外すかどうかは、お住まいの地域の地震リスク、建物の構造、住宅ローンの有無などを総合的に判断する必要があります。
地震保険を外した場合、地震、津波、噴火による被害は原則として補償されません。特に住宅ローンが残っている方は、建物が倒壊してもローンだけが残る「二重ローン」のリスクがあるため、慎重な判断が求められます。
水災補償の影響が次に大きい
地震保険の次に保険料への影響が大きいのが水災補償です。ただし、水災補償の保険料への影響は物件のタイプによって異なります。
| 物件タイプ | 水災を外した場合の保険料変化 |
|---|---|
| 一戸建て | 大幅に安くなる |
| マンション高層階 | あまり変わらない |
一戸建ての場合は水災補償を外すことで保険料がかなり安くなりますが、水害リスクも当然なくなります。お住まいの地域のハザードマップを確認して判断しましょう。
水災補償の必要性について詳しくは、火災保険の水災補償は必要かで解説しています。

外してもよい補償の判断基準
補償を外すかどうかの判断は、お住まいの環境やリスクによって異なります。以下に補償ごとの判断基準を示します。
水災補償を外してよいケース
水災補償を外す判断ができるのは、以下のような条件に当てはまる場合です。
- マンションの2階以上に住んでいる
- ハザードマップで洪水、土砂災害、内水氾濫のリスクが低い地域
- 近くに河川や急傾斜地がない
ただし注意が必要なのは、マンション高層階でもベランダの排水溝が詰まって室内に浸水した場合は水災に該当する点です。
地震保険を外してよいケース
地震保険を外す判断ができるのは、以下のような限定的な条件の場合です。
- ハザードマップで地震リスクが低い地域
- 住宅ローンが完済している(二重ローンのリスクがない)
- 建物の築年数が古く、地震保険料に見合う補償が得にくい場合
破損・汚損を外してよいケース
破損・汚損の補償を外す判断ができるのは、以下の場合です。
- 子供やペットがおらず、日常的な破損リスクが低い
- 古い建物で経年劣化と突発的破損の区別が難しい場合

破損・汚損の補償は保険料にどのくらい影響しますか?
破損・汚損の補償は保険料への上乗せが比較的少額なため、つけておいた方が安心という判断をする方が多い傾向にあります。
外すべきでない補償
一方で、保険料を安くしたいからといって外すべきでない補償もあります。
火災・落雷・破裂爆発
これは基本補償であり外すことができません。もらい火のリスクは自分では防げないため、火災保険の根幹となる補償です。
もらい火のリスクについて詳しくは、火災保険ともらい火で解説しています。
風災補償
台風や強風による被害は日本全国どこでも起こり得るため、風災補償は外すべきではありません。
外壁への飛来物、屋根の損傷、テレビアンテナの倒壊など、風災による請求は火災保険の中でも件数が多い補償です。
風災補償の詳細は、火災保険の風災補償で解説しています。
水漏れ補償
水漏れ補償は火災保険の基本的な補償の一つであり、外す方はほとんどいません。
特にマンションに住んでいる方は、上階からの水漏れ被害を受ける可能性があるため、水漏れ補償は欠かせません。
個人賠償責任特約
個人賠償責任特約は、日常生活で他人に損害を与えてしまった場合の賠償に備える特約です。火災保険に限らず自動車保険や傷害保険にも付帯できますが、いずれかで加入しておくことをおすすめします。
年間約2,000円程度で1億円までの賠償責任をカバーできるケースもあり、コストパフォーマンスが高い特約です(※保険料は保険会社・契約条件により異なります)。
個人賠償責任特約の詳細は、火災保険の個人賠償責任保険で解説しています。
類焼損害特約は本当にいらないのか
類焼損害特約は、自分が出火元となって隣家に延焼してしまった場合に、隣家の損害を補償する特約です。
失火法により、火災を起こしても重大な過失がなければ隣家への賠償責任が発生しないため、類焼損害特約の加入率は低い傾向にあります。道義的な責任を感じて加入する方もいますが、コストパフォーマンスの観点では優先度は低いと言えるでしょう。
失火法について詳しくは、火災保険と失火法で解説しています。
免責金額の設定で保険料を調整する
補償を丸ごと外す以外にも、免責金額(自己負担額)を設定することで保険料を調整する方法があります。
築年数が古い建物では、保険会社から免責金額の設定を求められるケースもあります。免責金額を高く設定するほど保険料は安くなりますが、小さな事故では保険金が支払われなくなるため、バランスを考えて設定しましょう。
補償の見直しで確認すべきポイント
火災保険の補償を見直す際には、以下のポイントを確認しましょう。
- ハザードマップで自宅周辺の水害、地震、土砂災害のリスクを確認する
- 住宅ローンの残高と地震保険の必要性を検討する
- 個人賠償責任特約が他の保険と重複していないか確認する
- 築年数に応じた破損・汚損、水漏れ補償の必要性を考える
- 複数の保険会社から見積もりを取得して比較する
この記事のまとめ
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火災保険の保険料に最も影響するのは地震保険で、外すと保険料が半額近くになるケースもあるが、地震被害は甚大なため慎重に判断すべき
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水災補償はマンション高層階でハザードマップのリスクが低ければ外す選択肢があるが、一戸建ての場合は外すことで保険料が大幅に安くなる反面リスクも増す
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風災補償と水漏れ補償は日本の住環境では事故件数が多く外すべきではない
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個人賠償責任特約は年間約2,000円程度で1億円までカバーできるケースもあり(※保険料は保険会社・契約条件により異なります)、コストパフォーマンスが高いため付帯の検討をおすすめします
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類焼損害特約は失火法で賠償責任が発生しにくいため優先度は低いが、免責金額の設定で保険料を調整する方法もある
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なお、地震・噴火・津波による被害は火災保険では補償されないため、別途地震保険への加入もご検討ください
よくある質問
火災保険でいらない補償はどれですか?
一律にいらない補償はありません。お住まいの環境やリスクに応じて判断します。例えばマンション高層階では水災補償を外す方が多く、地震リスクの低い地域では地震保険の加入を見送る方もいます。ただし補償を外す際は、外した場合のリスクを十分理解した上で判断しましょう。
水災補償は外しても大丈夫ですか?
マンションの2階以上に住んでいて、ハザードマップで水害リスクが低い地域であれば外す選択肢はあります。ただし一戸建ての場合は水害リスクが高いため、安易に外すことはおすすめしません。
地震保険は火災保険とどう違いますか?
地震保険は政府が管掌する制度で、保険金額は火災保険の30〜50%までしか設定できません。保険料は比較的高額で火災保険と同額かそれ以上になることもありますが、地震による倒壊、火災、津波の被害をカバーする唯一の保険です。
破損・汚損の補償は必要ですか?
お子様がいるご家庭や、日常生活での偶然の事故に備えたい方にはおすすめです。テレビの転倒、壁の穴、塀へのいたずら書きなど意外な場面で使える補償です。保険料の上乗せも比較的少額です。
補償を外すと保険料はどのくらい安くなりますか?
外す補償によって異なります。最も影響が大きいのは地震保険で、外すと保険料が半額近くになるケースもあります。次に影響が大きいのは水災補償で、特に一戸建ての場合は外すことで大幅に安くなります。マンションの場合は水災を外してもあまり変わりません。
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