契約・手続き(かんていにん)

鑑定人とは

一言でいうと

火災や自然災害などで損害が発生した際に、保険会社の依頼を受けて現地調査を行い、建物や動産の損害額を公正に算定する専門家のこと。正式名称は損害保険登録鑑定人で、日本損害保険協会の認定試験に合格・登録された有資格者です。

鑑定人とは

鑑定人とは、火災、台風、地震、水害などの事故や災害によって建物や家財に損害が生じた際に、保険会社の依頼を受けて現地調査を行い、損害額を算定する専門家です。正式には「損害保険登録鑑定人」と呼ばれ、一般社団法人日本損害保険協会が実施する認定試験に合格し、登録された有資格者のみがこの業務を担います。

鑑定人は保険会社とも契約者とも異なる中立的な立場で鑑定を行います。鑑定業務を行うこと自体に法的な資格要件はありませんが、保険会社が鑑定業務を委託する際には認定試験の合格を基準としているため、実務上は登録鑑定人が業務を担当しています。

資格等級と専門鑑定人

損害保険登録鑑定人の資格には3級、2級、1級の3つの等級があります。まず3級の認定試験を受験し、合格後に2級、1級とランクアップしていく仕組みです。3級の試験科目は「保険・一般常識」「電気・機械」「建築」の3科目で、それぞれ100点満点中60点以上の得点が必要です。合格率の目安は、日本損害保険協会のQ&Aによると3級が20〜30%、2級が10〜20%、1級が5〜10%とされています。

さらに、認定試験の合格に加えて一定の公的資格を保有している場合は、「専門鑑定人A」または「専門鑑定人B」として登録できます。専門鑑定人Aに必要な資格は一級建築士、不動産鑑定士、公認会計士、技術士、建築設備士などの高度な専門資格です。専門鑑定人Bに必要な資格は二級建築士、木造建築士、2級土木施工管理技士、第一種電気工事士などが該当します。

鑑定人の役割

鑑定人の主な役割は、保険金の支払いを適正かつ円滑に進めるために、損害の実態を客観的に調査し評価することです。具体的には以下の3つの業務を行います。

保険価額の算出では、ビルや工場、一般住宅などの建物や、家財・設備といった動産について、保険契約の基礎となる適切な保険価額を評価します。

損害額の鑑定では、火災や水濡れ、台風、地震などの災害発生後に、被害を受けた財物の損害額を算定します。修理費用の妥当性確認も含まれ、保険会社が保険金を円滑に支払えるよう支援します。

事故原因・状況の調査では、保険契約の内容と事故の内容が保険金支払いの対象となるかを確認するために、火災をはじめとするさまざまな事故について原因や状況を調査します。

鑑定の流れ

鑑定人による現地調査は、一般的に以下の6つの手順で進みます。

  1. 保険会社が損害の内容を検討し、鑑定の必要性を判断して鑑定人に調査を依頼する
  2. 鑑定人または保険会社の担当者が契約者に連絡し、訪問日時を調整する
  3. 約束した日時に鑑定人が現地を訪問し、調査の目的と内容を説明する
  4. 建物の外壁や屋根など外部の損傷を確認し、写真撮影や図面の作成を行う
  5. 室内に入り、雨漏り跡や内部の被害状況を確認する
  6. 調査結果の概要を契約者に説明し、今後の流れを案内する

現地調査の所要時間はおおむね1時間程度です。調査終了後、鑑定人は調査内容をまとめた鑑定報告書を保険会社に提出します。保険会社はその報告をもとに認定額を決定し、契約者に通知します。内容に合意すると保険金の支払い手続きに進みます。

すべての保険金請求で鑑定人が派遣されるわけではありません。写真や書面だけでは損害の範囲や程度の確認が難しい場合、あるいは修理見積の内容や金額の妥当性を現地で確認する必要がある場合に調査が実施されます。

なお、経年劣化による損傷は保険の補償対象外となるため、鑑定人は事故による損害と経年劣化を区別して判定します。

鑑定結果に納得できない場合

鑑定人の調査結果や保険会社が提示した認定額に疑問がある場合は、以下の方法で対応できます。

保険会社への再審査依頼

鑑定結果に不足や誤りがあると考えられる場合は、その根拠となる資料(修理業者の見積書、被害箇所の写真、工事の仕様書など)を準備し、保険会社に再調査・再審査を依頼できます。具体的にどの部分の鑑定に疑問があるのかを整理しておくと、再審査がスムーズに進みます。

そんぽADRセンターへの相談

保険会社との交渉が難航する場合は、日本損害保険協会が運営する「そんぽADRセンター」に相談できます。そんぽADRセンターは保険業法に基づく指定紛争解決機関で、専門の相談員が損害保険に関する相談に無料で対応しています。

苦情として受け付けた場合は保険会社に通知して対応を求め、当事者同士の交渉による解決を促します。それでも解決しない場合は、弁護士などの紛争解決委員が中立・公正な立場で和解案を提示する紛争解決手続に進むことも可能です。紛争解決手続の費用は原則無料で、和解案は原則として4か月以内に作成されます。連絡先は電話番号03-4332-5241(平日9時15分〜17時)です。

参考文献

  1. 日本損害保険協会 - 損害保険登録鑑定人 認定試験 - 鑑定人の定義、資格等級、認定試験の概要
  2. 日本損害保険協会 - 専門鑑定人A・Bの登録 - 専門鑑定人の登録要件と必要な公的資格
  3. 日本損害保険協会 - 鑑定人Q&A(全般) - 鑑定人の役割と試験制度に関するQ&A
  4. 日本損害保険協会 - そんぽADRセンター - 苦情・紛争解決手続の仕組みと利用方法
  5. 損保ジャパン - 火災保険 事故のご連絡 - 火災保険の保険金請求と事故対応の流れ