全損とは
一言でいうと
保険の対象である建物や家財の損害が著しく大きい状態のこと。火災保険では損害額が保険価額の80%以上、地震保険では主要構造部の損害割合が時価の50%以上または焼失床面積が延床面積の70%以上の場合に認定され、保険金支払い後に契約が終了します。
全損とは
全損とは、保険の対象である建物や家財が受けた損害が著しく大きく、修理や復旧が困難な状態を指す保険用語です。火災保険と地震保険では全損の認定基準が異なり、それぞれの仕組みを理解しておくことが大切です。
全損と認定された場合、火災保険・地震保険ともに保険金の支払いが行われた時点で保険契約は終了します。つまり、全損による保険金を受け取った後は、同じ契約で再度保険金を請求することはできません。一方、全損に至らない損害(分損)の場合は、保険金が支払われても契約は継続し、保険金額も減額されません。
火災保険における全損
火災保険の全損は、建物の損害額が保険価額(時価額)の80%以上に達した場合に認定されます。火災保険は「実損払い」が原則であり、実際に発生した損害額に基づいて保険金が支払われます。
全損となった場合は保険金額の全額が支払われ、その損害が発生した時点で契約が終了します。分損であれば保険期間中に何度でも保険金を請求でき、保険金を受け取ったことで翌年の保険料が上がることもありません。
地震保険における全損
地震保険は実際の修理費用ではなく、損害の程度を4つの区分(全損・大半損・小半損・一部損)に分けて保険金を支払う仕組みです。この損害認定は、建物の主要構造部(基礎、柱、壁、屋根など)の損害割合や焼失・流失した床面積の割合に基づいて行われます。
地震保険の保険金額は火災保険の30%から50%の範囲で設定されるため、全損で100%が支払われても建物の完全な再建費用を賄うものではなく、被災後の生活再建を支援するための保険として位置づけられています。
火災保険と地震保険の全損の比較
| 比較項目 | 火災保険 | 地震保険 |
|---|---|---|
| 全損の基準 | 損害額が保険価額の80%以上 | 主要構造部の損害割合50%以上、または焼失・流失床面積70%以上 |
| 支払方式 | 実損払い(実際の損害額) | 定額払い(損害区分に応じた割合) |
| 全損時の支払額 | 保険金額の全額 | 保険金額の100%(火災保険の30〜50%が上限) |
| 契約の継続 | 全損で契約終了 | 全損で契約終了 |
| 損害区分 | 全損・分損の2区分 | 全損・大半損・小半損・一部損の4区分 |
地震保険の損害認定4区分
地震保険では、2017年1月以降の契約から損害の程度を4段階で認定しています。それ以前は「全損」「半損」「一部損」の3区分でした。認定基準はすべての損害保険会社で共通であり、どの保険会社で契約しても同じ基準で判定されます。
建物の損害認定基準
| 損害区分 | 支払割合 | 主要構造部の損害割合 | 焼失・流失した床面積割合 |
|---|---|---|---|
| 全損 | 100% | 時価の50%以上 | 延床面積の70%以上 |
| 大半損 | 60% | 時価の40%以上50%未満 | 延床面積の50%以上70%未満 |
| 小半損 | 30% | 時価の20%以上40%未満 | 延床面積の20%以上50%未満 |
| 一部損 | 5% | 時価の3%以上20%未満 | 床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水 |
家財の損害認定基準
| 損害区分 | 支払割合 | 家財の損害割合 |
|---|---|---|
| 全損 | 100% | 時価の80%以上 |
| 大半損 | 60% | 時価の60%以上80%未満 |
| 小半損 | 30% | 時価の30%以上60%未満 |
| 一部損 | 5% | 時価の10%以上30%未満 |
家財の損害認定では、「食器陶器類」「電気器具類」「家具類」「衣類寝具類」「身回品その他」の5区分に分類し、それぞれの損傷状況から家財全体の損害割合を算出します。
全損で契約が終了する仕組み
火災保険・地震保険ともに、全損と認定されて保険金が支払われると、その時点で保険契約は終了します。これは、全損により保険の対象となる建物や家財が実質的に存在しなくなるためです。
契約終了後に再び補償を受けるためには、新たに保険契約を結ぶ必要があります。なお、地震等を原因とする地すべりなどにより建物全体が居住不能(一時的な場合を除く)となった場合は、損害割合にかかわらず全損として認定されます。また、門・塀のみの損害や一部損に至らない軽微な損害では保険金は支払われません。
参考文献
- 日本損害保険協会 - 地震保険の解説 - 地震保険の損害区分と保険金支払割合の概要
- 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A 地震保険 - 全損を含む4区分の認定基準の詳細
- 財務省 - 地震保険制度の概要 - 地震保険制度の仕組みと損害認定基準
- 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A 火災保険(全損・分損) - 火災保険の全損時の契約終了と分損時の契約継続
