保障・給付(いちぶそん)

一部損とは

一言でいうと

地震保険における損害認定4区分(全損・大半損・小半損・一部損)のうち、最も軽い損害区分のこと。建物は主要構造部の損害額が時価の3%以上20%未満、家財は時価の10%以上30%未満の場合に認定され、保険金額の5%が支払われます。

一部損とは

一部損とは、地震保険における損害認定の4区分(全損・大半損・小半損・一部損)のうち、最も軽い損害区分です。地震・噴火・津波によって建物や家財に損害が生じた際、損害の程度が一定の基準を超えているものの、小半損には至らない場合に「一部損」と認定されます。

一部損と認定されると、地震保険金額の5%(時価額の5%が限度)が保険金として支払われます。たとえば地震保険金額が1,000万円の場合、一部損の認定で受け取れる保険金は50万円です。損害の程度が一部損にも満たない場合は、保険金の支払い対象外となります。

地震保険の損害認定は、一般社団法人日本損害保険協会が制定した「地震保険損害認定基準」に基づいて行われます。この基準はすべての損害保険会社で共通であり、どの保険会社で契約しても同じ基準で判定されます。なお、2017年1月1日以降の契約から現在の4区分が適用されており、それ以前は「全損・半損・一部損」の3区分でした。

一部損の認定基準

建物と家財では、一部損の認定基準が異なります。

建物の認定基準

建物の場合、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根、小屋組など)の損害額がその建物の時価額の3%以上20%未満となった場合に一部損と認定されます。

また、建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受け、損害が全損・大半損・小半損に至らない場合も一部損として認定されます。

家財の認定基準

家財の場合、家財全体の損害額が時価額の10%以上30%未満となった場合に一部損と認定されます。家財の損害認定では、所有する家財を「食器陶器類」「電気器具類」「家具類」「衣類寝具類」「身回品その他」の5つに分類し、それぞれの損傷状況から家財全体の損害割合を算出します。

地震保険の損害認定4区分の比較

以下の表は、一部損を含む4つの損害区分の認定基準と支払保険金の一覧です。

建物の損害認定基準

損害区分主要構造部の損害額(時価比)焼失・流失した床面積(延床面積比)支払保険金
全損50%以上70%以上保険金額の100%
大半損40%以上50%未満50%以上70%未満保険金額の60%
小半損20%以上40%未満20%以上50%未満保険金額の30%
一部損3%以上20%未満床上浸水または地盤面より45cm超の浸水保険金額の5%

家財の損害認定基準

損害区分家財の損害額(時価比)支払保険金
全損80%以上保険金額の100%
大半損60%以上80%未満保険金額の60%
小半損30%以上60%未満保険金額の30%
一部損10%以上30%未満保険金額の5%

一部損と判定されるケース

建物で一部損と判定される例

地震による建物の損害が比較的軽微な場合に、一部損と判定されます。

  • 基礎にひび割れが複数発生しているが、建物全体の構造的な安全性は保たれている場合
  • 外壁にクラック(亀裂)が生じ、一部のタイルが剥落しているが、主要構造部の損害が時価の20%未満にとどまる場合
  • 屋根瓦の一部がずれたり落下したりしているが、損傷の範囲が限定的な場合
  • 建物が床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水を受けたが、構造的な損害が小半損の基準に至らない場合

家財で一部損と判定される例

  • 地震の揺れにより食器棚が倒れ食器類が破損したが、テレビや冷蔵庫などの大型家電は使用可能な状態にある場合
  • 家具の一部が転倒して破損したが、家財全体の損害額が時価の10%以上30%未満に収まる場合

一部損にも該当しないケース

以下の場合は一部損にも該当せず、保険金は支払われません。

  • 建物の主要構造部の損害額が時価の3%未満にとどまる場合(壁紙の剥がれや内装の軽微な損傷のみなど)
  • 門、塀、垣のみに損害が生じた場合
  • エレベーターや給排水設備など、主要構造部以外の設備のみに損害があった場合
  • 家財の損害額が時価額の10%未満の場合

罹災証明書との認定基準の違い

地震保険の損害認定と、市区町村が発行する罹災証明書の被害認定は、目的も基準も異なる別の制度です。

罹災証明書は内閣府の「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」に基づき、行政の被災者支援制度(被災者生活再建支援金の給付、税金の減免など)のために発行されます。被害の区分は「全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊」の6段階です。

一方、地震保険の損害認定は日本損害保険協会の「地震保険損害認定基準」に基づき、保険金を迅速かつ公平に支払うために行われます。損害区分は「全損・大半損・小半損・一部損」の4段階です。

このように両者は基準が異なるため、罹災証明書で「半壊」と認定されても、地震保険では「一部損」や「小半損」など異なる結果になることがあります。損害認定は保険会社の鑑定人が主要構造部の損傷状況を現地調査して判定するものであり、実際の修理費用ではなく建物の時価に対する損害割合で判定される点にも注意が必要です。

参考文献

  1. 財務省 - 地震保険制度の概要 - 地震保険の損害区分と保険金支払い割合の制度的枠組み
  2. 日本損害保険協会 - 地震保険 - 損害認定基準の制定機関と4区分の概要
  3. 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A 地震保険 - 建物・家財それぞれの損害認定基準の詳細
  4. 損害保険料率算出機構 - 地震保険基準料率 - 地震保険の基準料率と制度の概要