中古一戸建ての火災保険の相場|築年数別の保険料目安
この記事のポイント
中古一戸建ての火災保険料は築年数や構造で大きく変わります。新築比で1.5〜3倍になることもある保険料の仕組みと、築30年・50年の相場目安を専門家が解説します。
中古一戸建てを購入したとき、火災保険の保険料が「想像以上に高い」と感じる方は少なくありません。保険会社から届いた見積もりを見て、もっと安くならないかと考えた経験はないでしょうか。
結論として、中古一戸建ての火災保険料は築年数・構造・所在地で大きく変わり、新築と比べて1.5倍〜3倍になることもあります。しかし、建物評価額の仕組みを理解すれば、適正な保険料で過不足のない補償を確保できます。この記事では、中古一戸建ての火災保険の相場と、保険料が決まる仕組みを専門家への取材をもとに解説します。

中古一戸建ての火災保険料が新築より高い理由
中古住宅の火災保険料が新築より高くなる主な理由は、建物のリスク評価にあります。
保険料が上がる要因
中古一戸建ての保険料が高くなる主な要因は以下のとおりです。
- 建物の老朽化による事故リスクの増加
- 配管や電気設備の経年劣化で水漏れや漏電のリスクが高まる
- 旧耐震基準の建物は地震による損害リスクが高い
- 修理コストが新築部材より高くなることがある
築年数別の保険料の傾向
新築時の保険料を基準とした場合、築年数による保険料の目安は以下のとおりです。
| 築年数 | 保険料の目安(新築比) |
|---|---|
| 築10年以内 | 新築とほぼ同等〜1.2倍 |
| 築10〜20年 | 1.2〜1.5倍 |
| 築20〜30年 | 1.5〜2倍 |
| 築30〜50年 | 2〜3倍 |
| 築50年以上 | 3倍前後(横ばい) |
(※専門家への取材に基づく一般的な目安です。保険会社・補償内容・所在地により異なります)
中古住宅の建物評価額の決め方
火災保険の保険料は建物評価額に大きく依存します。中古住宅の建物評価額は「再調達価額」で算出するのが基本です。再調達価額とは、同じ建物を今の物価水準で建て直した場合にかかる費用のことです。
2つの評価方法
建物評価額は主に2つの方法で算出されます。

建物評価額はどうやって決まるのでしょうか?固定資産税の評価額を使えばいいのでは?

年次別指数法の具体例を挙げると、30年前に3,000万円で建てた建物の場合、経年係数(1.2〜1.7程度)をかけると現在の評価額は4,500万円程度(例:係数1.5の場合)になることもあります。物価上昇や建築費の高騰を反映するため、建築当時の金額より高くなるケースが多いのです。
固定資産税評価額との違い
中古住宅を購入した方の中には、固定資産税評価額をもとに火災保険の金額を決めようとする方がいますが、これは適切ではありません。
| 評価方法 | 特徴 |
|---|---|
| 固定資産税評価額 | 経年減価されており、建物が古いほど低くなる |
| 火災保険の評価額(再調達価額) | 同じ建物を今建てた場合の費用で、物価上昇を反映 |
評価額は30%の範囲で調整可能
算出された評価額に対して、70%〜130%の範囲内で調整が認められています。
- 高級な部材を使用している場合: 130%まで上方調整が可能
- 一般的な仕様で十分な場合: 70%まで下方調整が可能
たとえば評価額が2,000万円と算出された場合、1,400万円〜2,600万円の範囲で保険金額を設定できます。ただし、下方調整しすぎると万が一の際に十分な保険金を受け取れないリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
構造による保険料の違い
中古一戸建ての火災保険料は、建物の構造によっても大きく変わります。
構造級別と保険料の関係
火災保険では、建物の構造を大きく3つに分類しています。
| 構造級別 | 該当する建物 | 保険料の傾向 |
|---|---|---|
| M構造(マンション構造) | RC造マンション、耐火建築物 | 最も安い |
| T構造(耐火構造) | 鉄骨造住宅、準耐火建築物 | 中程度 |
| H構造(非耐火構造) | 木造住宅、土蔵造 | 最も高い |
木造の一戸建ては一般的にH構造に分類され、RC造のマンションと比べると保険料が2〜3倍程度高くなる傾向があります(※数値は一般的な目安です。条件により異なります)。
所在地による保険料の違い
同じ構造・築年数でも、所在地によって保険料は変わります。これは地域ごとの災害リスクが保険料率に反映されているためです。
一般的に、台風や水害が多い地域は保険料が高く、災害リスクの低い地域は保険料が安くなります。
築50年以上の中古住宅で注意すべき点
築50年以上の中古住宅は、火災保険の引き受け条件に制限がかかることがあります。
築古物件で制限されやすい補償
築50年以上の物件では、以下の補償に制限がかかることがあります。
特に、漏水事故が多発しているような物件では、水濡れ損害の補償を一切つけられないこともあります。築古物件を購入する際は、事前に火災保険の引き受け条件を確認しておくことが重要です。
経年劣化と保険の関係については、火災保険と経年劣化の記事で詳しく解説しています。
中古一戸建ての火災保険料を抑えるポイント
保険料を適正に抑えるための具体的な方法をご紹介します。
水災補償の要否をハザードマップで確認する
水災補償は保険料に大きく影響します。高台にある物件や、浸水リスクの低い地域であれば、水災補償を外すことで保険料を大幅に抑えられます。
国土交通省のハザードマップポータルサイトで自宅周辺の水害リスクを確認し、外してもよいか判断しましょう。詳しくは火災保険の水災補償は本当にいらないのかもご参照ください。
免責金額を設定する
免責金額(自己負担額)を設定することで、保険料を抑えることができます。免責金額が1万円〜5万円程度であれば、万が一の際の自己負担も限定的です。
複数社で見積もりを比較する
保険会社によって保険料率や割引制度は異なります。1社だけで決めず、複数社から見積もりを取って比較することが大切です。

中古住宅の火災保険は、どの保険会社でも保険料は同じですか?
長期契約で保険料を抑える
火災保険は最長5年間の長期契約が可能で、一括払いにすると割引が適用されます。ただし、築50年以上の物件は1年契約に制限されることがあるため、引き受け条件を確認してください。
この記事のまとめ
- 中古一戸建ての火災保険料は新築比で1.5〜3倍が目安、築40〜50年がピーク
- 建物評価額は再調達価額(新築費単価法または年次別指数法)で算出される
- 固定資産税評価額と火災保険の評価額は異なるため注意が必要
- 算出された評価額は70%〜130%の範囲で調整可能
- 木造H構造はRC造と比べて保険料が2〜3倍高い(一般的な目安です)
- 築50年以上は契約期間や補償に制限がかかることがある
- 水災補償の見直しや複数社比較で保険料を適正に抑えられる
よくある質問
中古一戸建ての火災保険料は新築と比べてどのくらい高いですか?
築年数によりますが、新築と比べて1.5倍〜3倍程度になるケースがあります。築40〜50年を超えると保険料率の上昇が緩やかになり、50年以上はほぼ横ばいとなります。
中古住宅の建物評価額はどうやって決まりますか?
新築費単価法(構造・所在地から現在の新築費用を算出)または年次別指数法(建築時の金額に経年係数をかける)で決まります。固定資産税評価額とは異なり、再調達価額(同じ建物を今建てたらいくらか)がベースです。
築50年以上の一戸建ては火災保険に入れますか?
加入は可能ですが、契約期間が1年間に限定されたり、免責金額が10万円〜20万円に設定されたりする制限がつくことがあります。水漏れ補償をつけられないケースもあるため、事前に保険会社に確認が必要です。
中古一戸建ての火災保険料を安くする方法はありますか?
水災補償の要否をハザードマップで確認して外す、免責金額を設定する、不要な特約を外す、複数社で見積もりを比較するなどの方法があります。建物評価額は70%〜130%の範囲で調整可能です。
固定資産税評価額で火災保険に入れますか?
固定資産税評価額は経年減価されているため、火災保険の建物評価額とは大きく異なります。火災保険は再調達価額(同じ建物を今建て直す費用)で加入するのが基本です。
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