省令準耐火構造とは
一言でいうと
住宅金融支援機構が定める基準に適合し、建築基準法の準耐火構造に準ずる防火性能を持つ住宅構造のこと。外部からの延焼防止、各室防火、他室への延焼遅延の3つの性能を備え、木造住宅でも火災保険の構造級別でT構造に分類されるため、保険料が大幅に安くなるメリットがあります。
省令準耐火構造とは
省令準耐火構造とは、建築基準法で定める準耐火構造に準ずる防火性能を持つ構造として、住宅金融支援機構が独自に定める基準に適合する住宅のことです。
この名称は、勤労者財産形成促進法施行令第36条第2項および第3項の基準を定める省令に由来しています。建築基準法上の区分ではなく、住宅金融支援機構がフラット35などの住宅ローンに関連して設けた独自の基準である点が大きな特徴です。
3つの防火性能
省令準耐火構造の住宅には、以下の3つの防火性能が求められます。
- 外部からの延焼防止:隣家などで火災が発生した場合に、延焼を受けにくい構造であること
- 各室防火:室内で火災が発生しても、火を室外に出しにくい構造であること
- 他室への延焼遅延:万が一火が室外に出た場合でも、他の部屋への延焼を遅らせる構造であること
これらの性能を確保することで、木造住宅であっても火災被害の拡大を防ぎ、建築基準法の準耐火構造と同等の防火性能を実現しています。
具体的な技術基準
省令準耐火構造として認められるためには、以下の技術基準を満たす必要があります。
- 外壁および軒裏が防火構造であること
- 屋根を不燃材料でつくるか、または不燃材料で葺いたもの、あるいは準耐火構造であること
- 室内に面する天井および壁が通常の火災の加熱に15分以上耐える性能を有すること
- その他の部分が防火上支障のない構造であること
対象となる工法
省令準耐火構造が適用される工法は主に以下の3つです。
- 木造軸組工法(在来工法):住宅金融支援機構が定める仕様に基づき建設された住宅
- 枠組壁工法(ツーバイフォー工法):同じく機構の仕様に基づく住宅
- 木質系プレハブ工法:機構が承認したプレハブ住宅のうち、省令準耐火構造の仕様に該当するもの
いずれの工法も、住宅金融支援機構が定める仕様に正確に適合している必要があります。なお、機構承認プレハブ住宅の中には省令準耐火構造に該当しないものもあるため、個別に確認が必要です。
耐火構造・準耐火構造との違い
省令準耐火構造と、建築基準法上の耐火構造・準耐火構造では、根拠となる法令や所管する機関が異なります。
| 区分 | 根拠法令 | 所管 | 建築確認申請への記載 |
|---|---|---|---|
| 耐火構造 | 建築基準法 | 国土交通省 | あり |
| 準耐火構造 | 建築基準法 | 国土交通省 | あり |
| 省令準耐火構造 | 勤労者財産形成促進法施行令に基づく省令 | 住宅金融支援機構 | なし |
耐火構造と準耐火構造は建築基準法に基づく法律上の構造区分であり、建築確認申請書にも記載されます。一方、省令準耐火構造は住宅金融支援機構が定める独自基準であり、建築確認申請書には記載されません。
そのため、省令準耐火構造であることを証明するには、設計仕様書や施工会社の証明書類など、建築確認申請書とは別の書類が必要になります。
防火性能としては、省令準耐火構造は建築基準法の準耐火構造と同等の水準を持つとされており、火災保険の構造級別でも準耐火構造と同じ扱いを受けます。
火災保険料への影響
省令準耐火構造の住宅を選ぶ大きなメリットの一つが、火災保険料の軽減です。
火災保険では、建物の構造をM構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)の3つに分類しています。通常の木造住宅はH構造に分類されますが、省令準耐火構造の木造住宅はT構造に分類されます。
| 構造級別 | 対象となる建物 | 保険料水準 |
|---|---|---|
| M構造 | コンクリート造の共同住宅など | 最も安い |
| T構造 | 耐火構造、準耐火構造、省令準耐火構造の戸建住宅 | 安い |
| H構造 | 上記以外の木造戸建住宅など | 高い |
T構造の火災保険料はH構造と比較して半分程度になるケースが一般的です。たとえば同じ補償内容でH構造の年間保険料が6万円のところ、T構造であれば3万円前後に抑えられるようなイメージです。長期間で見ると数十万円単位の差額になることもあり、住宅の防火性能が家計に与える影響は小さくありません。
さらに、地震保険についてもT構造の建物は「イ構造」に分類されるため、通常の木造住宅が分類される「ロ構造」と比べて保険料が安くなります。
木造住宅を新築する際は、省令準耐火構造に対応しているかを施工会社に確認することで、住宅の安全性を高めるとともに、長期的な保険料の節約につなげることができます。
参考文献
- 住宅金融支援機構(フラット35) - 省令準耐火構造の住宅とは - 省令準耐火構造の定義、3つの防火性能、対象工法と技術基準
- 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A すまいの保険 問58 - 火災保険の構造級別と保険料の関係
- 損害保険料率算出機構 - 火災保険参考純率 - 建物構造によるリスク区分と保険料率の算出基準
- e-Gov法令検索 - 勤労者財産形成促進法施行令第36条の基準を定める省令 - 省令準耐火構造の法的根拠
