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テナントの火災保険|個人用との違いと補償の選び方

この記事のポイント

テナント入居者の火災保険は個人用とは別の企業向け商品で加入します。オーナーとの責任分担、借家人賠償や施設賠償の目安、年間保険料2〜3万円程度の小規模事務所の事例を専門家が解説します。

テナントとして店舗や事務所に入居する際、火災保険への加入は欠かせません。「住宅用の火災保険に入ればいいのでは?」と考える方もいますが、実はテナントの火災保険は住宅用とはまったく別の商品です。

結論として、テナントの火災保険は企業向け商品(企業総合保険・事業活動総合保険など)で加入し、什器備品の補償に加えて借家人賠償責任と施設賠償責任を組み合わせることで事業リスクに備えられます。小規模事務所であれば年間保険料 2〜3 万円程度から加入できるケースもあります。この記事では、テナント入居者が知っておくべき火災保険の基礎知識から、オーナーとの責任分担、補償の選び方、保険料の目安まで専門家への取材をもとに解説します。

テナントの火災保険

テナントの火災保険とは

テナントの火災保険とは、賃貸物件に入居する店舗や事務所が加入する事業用の火災保険です。建物そのものはオーナーが保険をかけていますが、テナント側には自分の財産を守り、万が一の賠償リスクに備えるための保険が必要になります。

テナントの火災保険で補償の対象となるのは、主に以下の 3 つです。

  • 什器備品(デスク、椅子、パソコン、レジ、棚など業務用の設備)
  • 内装造作(テナントが自費で施した内装工事部分)
  • 商品・在庫品(販売用商品や原材料など)

これらに加えて、テナントならではの賠償責任保険が重要な役割を果たします。建物を借りている以上、オーナーや第三者に対する賠償リスクは常に存在するためです。

今泉
今泉

テナントや事務所の火災保険は、居住用の個人向け火災保険とは別の商品でしか引き受けできません。商品体系が異なるため、企業向けの保険で加入する形になります。住宅用の火災保険をテナントに適用することはできない点に注意が必要です。

火災保険の基本的な仕組みを理解したうえで、テナント特有のポイントを押さえていきましょう。

テナントの火災保険と住宅用火災保険の違い

テナントの火災保険は住宅用とは商品体系そのものが異なります。「自宅と同じ保険でいいのでは?」という誤解は事業者に多く見られますが、保険会社の引き受け基準上、住宅用の火災保険ではテナントをカバーすることはできません。

商品体系の違い

住宅用の火災保険と、テナント向けの企業用火災保険を比較すると、以下のような違いがあります。

項目住宅用火災保険テナント向け企業用火災保険
対象居住用の住宅店舗・事務所・倉庫など
保険の対象物建物と家財什器備品・内装造作・商品
賠償責任個人賠償責任(日常生活)施設賠償・借家人賠償

(※保険料・補償内容は保険会社やプランにより異なります)

マネサロくん
マネサロくん

住宅用の火災保険でテナントに入ることは本当にできないのですか?

今泉
今泉

はい、テナントや店舗は個人用の火災保険では引き受けできません。2020 年頃から各損保会社が店舗総合保険をリニューアルしまして、企業財産包括保険や事業活動総合保険、企業総合保険など様々な名前の商品が出ています。どの保険会社でも、テナントには企業向けの商品でのご提案になります。

保険の対象物の違い

住宅の火災保険では「建物」と「家財」が保険の対象ですが、テナント向けの保険では対象が異なります。

住宅の家財保険は生活用品全般をまとめてカバーしますが、テナントの場合は什器備品として業務用の設備を個別に評価して保険金額を設定します。商品や在庫品は什器備品とは別に保険をかける必要がある場合もあり、住宅の家財保険よりも評価が複雑になるのが一般的です。

また、テナントが自費で施した内装造作も重要な保険の対象です。スケルトン状態から自分で内装工事を行った場合、その費用は数百万円から数千万円に及ぶこともあります。この内装部分はオーナーの保険ではカバーされないため、テナント側で必ず保険をかけておく必要があります。

テナントが自費で施した内装造作は、オーナーの建物保険ではカバーされません。内装工事費用を保険金額に含めておかないと、万が一の際に復旧費用を全額自己負担することになります。

テナントとオーナーの責任分担

テナントとして入居する際に最も重要なのが、オーナーとの責任分担を正しく理解することです。「建物のオーナーが保険に入っているから大丈夫」と考えるのは危険です。

オーナーが負担する部分

建物そのもの(構造体、共用部分、スケルトン部分)の火災保険はオーナーの責任です。建物が火災や自然災害で損害を受けた場合、建物の修繕費用はオーナーの保険でカバーされます。

具体的にオーナーの保険でカバーされるのは以下の部分です。

  • 建物の構造体(柱、壁、屋根、床など)
  • 共用部分(廊下、階段、エレベーターなど)
  • 建物に付属する設備(給排水管、電気配線など)

テナントが負担する部分

テナント側で保険をかける必要があるのは「中身」と「賠償責任」です。建物の箱の部分はオーナーが守り、中身はテナントが自分で守るという分担になります。

テナントが自分で保険をかけるべき対象は以下のとおりです。

  • 什器備品(デスク、椅子、パソコン、棚、レジなどの業務用設備)
  • 内装造作(テナント負担で施工した内装工事部分)
  • 商品・在庫品(販売用の商品や原材料)
  • 借家人賠償責任(オーナーへの賠償に備える保険)
  • 施設賠償責任(来店客や第三者への賠償に備える保険)
今泉
今泉

建物自体はオーナーさんの所有ですから、オーナーさんが保険をかけています。テナント側は自分たちの所有物であるパソコンやデスクといった備品と、それから賠償責任に備える保険が必要です。建物の箱の部分はオーナー、中身はテナントという分担ですね。

テナントに必要な補償内容

テナントの火災保険で特に重要な補償内容を、それぞれ詳しく見ていきましょう。

什器備品・商品の補償

テナント内の什器備品や商品に対する火災保険の基本補償です。火災、落雷、爆発、風災、水濡れ、盗難などの事故で什器備品や商品が損害を受けた場合に保険金が支払われます。

保険金額の設定においては、すべての什器備品と商品を「新価(再調達価額)」で評価して合計金額を算出します。新価とは、同等のものを今新しく購入する場合に必要な金額のことです。

今泉
今泉

保険金額の設定では新価実損払いをおすすめします。時価払いだと減価償却分が差し引かれてしまい、思っていた金額を受け取れないケースがあります。新価実損払いであれば、同等のものを買い直すために必要な費用がカバーされますので、できる限り新価実損払いで設計することをおすすめしています。

新価(再調達価額)と時価の違いについて補足します。新価は今買い直す場合に必要な費用、時価は新価から経年劣化分(減価償却)を差し引いた金額です。時価払いの場合、例えば 5 年前に 30 万円で購入したパソコンに事故があっても、時価評価では数万円しか受け取れないことがあります。

借家人賠償責任保険

借家人賠償責任保険は、テナントとして借りている物件で火災などを起こし、建物に損害を与えた場合にオーナーへの賠償責任をカバーする保険です。

テナントには賃貸借契約に基づく原状回復義務があります。万が一テナント側の過失で火災が発生し、建物に損害を与えてしまった場合、オーナーに対して損害賠償責任を負います。この責任に備えるのが借家人賠償責任保険です。

借家人賠償責任保険の補償額の目安は 1,500 万円程度が一般的とされています。ただし物件の規模や構造によっては、さらに高額な設定が必要になる場合もあります。

借家人賠償責任保険は、賃貸借契約で加入を義務付けているケースが多く見られます。契約時にオーナーや管理会社から加入を求められることが一般的ですので、契約前に必要な補償額を確認しておきましょう。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険は、テナントの設備や管理の不備が原因で来店客や通行人に損害を与えた場合に備える保険です。

例えば以下のようなケースで補償されます。

  • 店舗の看板が落下して通行人にケガをさせた
  • 店内の床が濡れていてお客様が転倒してケガをされた
  • テナントの水漏れで隣のテナントに損害を与えた

施設賠償責任保険の補償額の目安は 1 億円程度です。人が亡くなってしまう事故も想定して、十分な補償額を設定しておくことが重要です。

マネサロくん
マネサロくん

施設賠償責任保険と借家人賠償責任保険は両方必要ですか?

今泉
今泉

はい、両方入っていただくことをおすすめしています。借家人賠償責任はオーナーさんへの賠償に備えるもの、施設賠償責任は来店されたお客様や通行人など第三者への賠償に備えるものです。守る対象が違いますので、どちらか一方だけでは十分とは言えません。施設を所有・管理している以上、そこから生じる賠償責任に備えておくことが大切です。

テナントとオーナーの火災保険の責任分担

テナントの火災保険料の目安

テナントの火災保険料は、業種、物件の規模、補償内容によって大きく異なります。ここでは具体的な目安を紹介します。

小規模事務所の場合

2〜3 人程度のスタートアップや小規模事務所の場合、保険料の目安は以下のとおりです。

補償内容設定金額の目安
什器備品(デスク・椅子・パソコンなど)200〜300 万円
施設賠償責任1 億円
借家人賠償責任1,500 万円

この設定で年間保険料は 2〜3 万円程度が目安です。5 万円を超えることはあまりありません。

今泉
今泉

小さい事務所の場合、パソコン 2〜3 台とデスク、椅子、ホワイトボードといった備品であれば 200〜300 万円あれば間に合うかと思います。施設賠償責任は人が亡くなることも考えて 1 億円、借家人賠償責任は 1,500 万円程度の設定で、年間保険料はだいたい 2〜3 万円ぐらいではないかと思います。

店舗(小売・サービス業)の場合

小売店やサービス業のテナントでは、什器備品に加えて商品・在庫品の補償が必要になります。在庫の規模によって保険金額が大きく変わるため、保険料も事務所より高くなる傾向があります。

季節変動がある業種の場合は、在庫が最も多くなる時期の金額で保険金額を設定することが重要です。在庫が少ない時期に合わせて設定すると、繁忙期に補償が不足するリスクがあります。

飲食店の場合

飲食店は火を扱う業種のため、保険料率が他の業種より高くなります。厨房設備の評価額も高額になりやすく、加えて休業損害補償の検討も必要です。

飲食店のテナント火災保険については飲食店の火災保険で詳しく解説していますので、飲食業の方はぜひ参考にしてください。

本記事で紹介している保険料の目安は一般的な参考値であり、特定の保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。実際の保険料は物件の所在地、構造、業種、補償内容、保険金額、割引の適用有無などの条件によって異なります。正確な保険料を知りたい場合は、複数の保険会社から見積もりを取ることをおすすめします。

業種別の注意点

テナントの火災保険は、業種によって必要な補償内容や保険料が大きく異なります。業種ごとの特徴を押さえておきましょう。

事務所・オフィスの場合

事務所やオフィスのテナントは、比較的シンプルな補償設計で済むケースが多い業種です。

主な保険対象は以下のとおりです。

  • パソコン、モニター、プリンターなどの OA 機器
  • デスク、椅子、キャビネットなどのオフィス家具
  • サーバー機器(IT 企業の場合は高額になることも)

IT 企業でサーバーを自社で保有している場合は、サーバーの評価額が非常に高額になる可能性があります。大規模なサーバールームを持つ企業であれば、電気的・機械的事故の特約も検討する価値があります。ただし、一般的な事務所であればメーカー保証や延長保証で対応できる場合が多いため、必ずしも必要ではありません。

今泉
今泉

事務所の場合、業種によって保険をかける対象が変わってきます。例えば IT 系の会社でサーバーを自社で大量に持っている場合は、電気的・機械的事故の特約をつけることも検討したほうがよいですね。ただ、一般的な事務所であればメーカー保証で延長保証をつければ済む場合がほとんどです。

小売店・物販店の場合

小売店では在庫商品の価値が大きいため、商品に対する保険設計が特に重要です。

  • 在庫商品の評価額を正確に把握すること
  • 季節変動がある場合は最大時の在庫額で設定すること
  • 盗難補償の付帯も検討すること
  • 破損・汚損補償で展示商品の破損にも備えられること

高額な商品を取り扱う小売店(宝飾品店、家電量販店など)では、什器備品よりも商品の保険金額が大きくなるケースがあります。在庫台帳を正確に管理し、保険金額が実態に合っているか定期的に見直すことが大切です。

飲食店の場合

飲食店は火を日常的に扱うため、他の業種よりも火災リスクが高く評価されます。

  • 保険料率が事務所や小売店より高い傾向
  • 厨房設備(フライヤー、オーブン、冷蔵庫など)の評価額が高額になりやすい
  • 施設賠償責任保険の重要度が特に高い
  • 休業損害補償の検討が強く推奨される
マネサロくん
マネサロくん

飲食店のテナントで特に気をつけるべき補償は何ですか?

今泉
今泉

飲食店の場合は特に施設賠償責任保険が重要です。来店されたお客様が店内で転倒されたり、火災で近隣のテナントに損害を与えてしまったりするリスクがあります。また、営業できなくなった場合の休業損害補償もつけておかれることをおすすめします。火災で営業停止になると家賃や人件費は発生し続けますから、復旧までの固定費をカバーする補償は飲食店経営の生命線です。

店舗の火災保険全般については店舗の火災保険でも解説しています。

美容室・サロンの場合

美容室やエステサロンでは、高額な設備機器の保護と施術中の事故に対する備えが求められます。

  • シャンプー台、セット面、エステ機器など高額設備の正確な評価
  • 施術中の事故に備える賠償責任保険
  • 水を多く使う業態のため水漏れ事故のリスクにも注意

テナント火災保険の選び方のポイント

テナントの火災保険を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。

複数の保険会社で見積もりを比較する

テナント向けの企業用火災保険は、住宅用の保険以上に保険会社間の保険料差が大きい傾向があります。同じ補償内容でも保険会社によって数万円の差が出ることは珍しくありません。

最低でも 2〜3 社から見積もりを取り、補償内容と保険料のバランスを比較して選ぶことが大切です。火災保険の見積もりの取り方については別の記事で詳しく解説しています。

今泉
今泉

テナント向けの保険は住宅用の保険以上に、保険会社ごとの保険料の差が大きい傾向があります。最低でも2〜3社から見積もりを取って比較することが重要です。同じ補償内容でも保険会社によって数万円の差が出ることは珍しくありません。相見積もりで比較検討することが保険料を抑える基本です。

賠償責任保険の補償額を適切に設定する

賠償責任保険は補償額の設定が重要です。目安として以下の金額を参考にしてください。

  • 施設賠償責任: 1 億円程度(人身事故も想定)
  • 借家人賠償責任: 1,500 万円程度(物件の規模に応じて調整)

補償額を低く設定すれば保険料は安くなりますが、万が一の事故で補償が足りなくなるリスクがあります。特に施設賠償責任は人の命に関わる事故も想定されるため、十分な補償額を確保しておくことをおすすめします。

新価実損払いを選ぶ

保険金の支払い方法には「新価実損払い」と「時価払い」の 2 種類があります。テナントの火災保険では新価実損払いを選ぶことを強くおすすめします。

時価払いの場合、保険金の支払い額は新価から減価償却分を差し引いた金額になります。例えば 5 年前に購入した設備に損害があった場合、時価評価では購入金額の 50〜70% 程度しか受け取れないケースもあります。

保険会社によっては太っ腹でこのぐらいの償却だったら100%全部出しますよって言ってくれるのがどちらかというと大手でしょうかね

新価実損払いであれば同等の設備を新たに購入するための費用が補償されるため、事業の復旧をスムーズに進めることができます。

休業損害補償の検討

火災や自然災害でテナントが営業できなくなった場合、復旧期間中も家賃や従業員の給与といった固定費は発生し続けます。この損失を補償するのが休業損害補償です。

特に飲食店や小売店など、営業停止が直接的な売上減少に直結する業種では、休業損害補償の付帯を検討する価値があります。休業中に常連客が離れてしまうリスクも考えると、できるだけ早く復旧するための保険はテナント経営において重要な位置づけです。

不要な補償を見極める

保険料を抑えるためには、立地や業種に応じて不要な補償を見極めることも大切です。

  • 高台にある物件であれば水災補償を外す検討もできる
  • 盗難リスクが低い業種であれば盗難補償を見直す
  • 免責金額を設定して小さな損害は自己負担にする

ただし、必要な補償まで削ってしまうと万が一の際に十分な保険金を受け取れません。火災保険の選び方を参考に、バランスのよい設計を心がけましょう。

テナントとオーナーの間でよくあるトラブル

テナントの火災保険に関連して、テナントとオーナーの間で起きがちなトラブルとその対策を紹介します。

責任の所在が曖昧なケース

火災や水漏れなどの事故が発生した際に、テナントとオーナーのどちらに責任があるのかが曖昧なケースがあります。例えば建物の老朽化による水漏れがテナントの備品に損害を与えた場合、修繕費用をどちらが負担するのかでトラブルになることがあります。

このようなトラブルを防ぐためには、入居時にオーナーとの間で責任の範囲を明確にしておくことが重要です。賃貸借契約書に記載されている原状回復の範囲や、保険加入の義務なども事前に確認しておきましょう。

今泉
今泉

テナントとオーナーの間で事故が起きると、直接の交渉はお互いにしにくいものです。オーナーさんが高齢の方だったりすると、代理店に丸投げされるケースもあります。被害者の方も同じく直接は言いにくいので、代理店を通じてやり取りすることになります。こうした場合は保険金の請求やお支払い、示談書の手続きなどに日数を要することがあります。

補償の重複と不足

テナントがオーナーの保険でカバーされていると思い込み、自分の保険に加入していなかったというケースも見られます。逆に、オーナーとテナントの保険で補償が重複しているケースもあります。

入居時にオーナーの火災保険の補償範囲を確認し、自分の保険でカバーすべき範囲を明確にしておくことが大切です。不明な点があれば保険の専門家に相談することで、無駄のない保険設計が可能になります。

保険金請求時の注意点

テナントで事故が発生した場合、保険金の請求手続きには写真や修理見積書などの書類が必要です。事故が起きたらすみやかに以下の対応をとりましょう。

  • 被害状況の写真を複数の角度から撮影する
  • 修理業者に修理見積書(明細付き)を依頼する
  • 保険会社または代理店にすみやかに連絡する
  • オーナーや管理会社にも報告する

復旧が急がれる場合は、保険金の支払いを待たずに修理を進めて問題ありません。修理にかかった費用の請求書や領収書を保管しておけば、後から保険金を請求することができます。

テナント火災保険の加入から更新までの流れ

テナントの火災保険に初めて加入する方のために、加入から更新までの基本的な流れを解説します。

加入のタイミング

テナントの火災保険は、物件の賃貸借契約と同時に加入するのが一般的です。多くの場合、賃貸借契約の条件として火災保険(特に借家人賠償責任保険)への加入が求められます。

不動産会社から保険を勧められることも多いですが、提示された保険が最適とは限りません。1 社だけの見積もりで決めるのではなく、専門の保険代理店からも見積もりを取って比較することをおすすめします。

契約期間の選び方

テナントの火災保険の契約期間は 1 年が一般的ですが、長期契約にすることで保険料の割引を受けられる場合があります。

  • 法人の場合: 1 年契約が一般的(決算期に合わせやすい)
  • 個人事業主の場合: 5 年契約も選択肢に入る

賃貸借契約の期間と火災保険の契約期間を合わせておくと、更新管理がしやすくなります。

更新時の見直しポイント

テナントの火災保険は更新のタイミングで見直しをすることが大切です。以下の点を確認しましょう。

  • 什器備品の増減はないか(設備を増設した場合は保険金額の引き上げが必要)
  • 事業内容に変更はないか(業種が変わると保険料率も変わる)
  • 従業員数の変化はないか
  • 保険料率の改定がないか

近年は保険料率の改定が 2〜3 年ごとに行われており、更新のたびに保険料が上がるケースが増えています。更新時には他社の見積もりも含めて比較検討することで、保険料の上昇を抑えられる場合があります。

テナントの火災保険は入居時に加入して終わりではなく、事業の成長に合わせて定期的に見直すことが大切です。設備の追加や事業内容の変更があった場合はすみやかに保険内容を更新しましょう。

地震リスクへの備え

テナントの火災保険では、地震・噴火・津波による損害は補償されません。地震リスクに備えるためには別途の対策が必要です。

火災保険は地震・噴火・津波による損害を補償対象外としています。テナント(事業用物件)は居住用の地震保険の対象外となるケースが多いため、地震危険担保特約など保険会社独自の特約を検討する必要があります。地震リスクの高い地域でテナントを構えている場合は、保険の専門家にご相談ください。

地震による被害は広範囲に及ぶことが多く、テナントの什器備品だけでなく建物そのものが使用不能になることもあります。地震リスクの高い地域でテナントを構えている場合は、地震への備えについても保険の専門家に相談しておくことをおすすめします。

この記事のまとめ

  • テナントの火災保険は個人用(住宅用)では引き受けできず、企業向けの商品で加入する
  • 建物はオーナーの責任、中身(什器備品・内装造作)と賠償責任はテナントの責任
  • 施設賠償責任は 1 億円程度、借家人賠償責任は 1,500 万円程度が補償額の目安
  • 小規模事務所であれば備品 200〜300 万円の設定で年間保険料 2〜3 万円程度が目安
  • 保険金の支払い方法は新価実損払いを選ぶことで、十分な復旧費用を確保できる
  • 業種によって必要な補償が異なるため、専門の保険代理店に相談して設計するのがおすすめ

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マネサロくん

よくある質問

テナントの火災保険は個人用の火災保険と何が違いますか?

テナントの火災保険は個人用(住宅用)の火災保険では引き受けできず、企業総合保険や事業活動総合保険など企業向けの商品で加入する必要があります。賠償責任保険をセットできる点も大きな違いです。

テナントとオーナーで火災保険の責任分担はどうなりますか?

建物はオーナーが火災保険をかけ、テナントは自分の什器備品や内装造作に保険をかけます。さらにテナントは借家人賠償責任保険と施設賠償責任保険への加入も必要です。

小規模事務所のテナント火災保険の保険料はいくらですか?

2〜3 人規模の小規模事務所であれば、備品 200〜300 万円に施設賠償 1 億円、借家人賠償 1,500 万円程度の設定で、年間保険料は 2〜3 万円程度が目安です。

テナントに施設賠償責任保険は必要ですか?

はい、おすすめします。テナントの設備や管理の不備で来店客や通行人に損害を与えた場合に備える保険です。1 億円程度の補償額が目安とされています。

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