基本用語(ないそうぞうさく)

内装造作とは

一言でいうと

テナントが自費で施工した内装や設備(壁・天井・床・照明・空調など)を指す用語。建物本体とは区別され、火災保険では「設備・什器等」として別途保険をかける必要があります。退去時の原状回復義務にも深く関わるため、賃貸借契約での取り扱いを事前に確認しておくことが重要です。

内装造作とは

内装造作とは、テナント(賃借人)が自らの費用で施工・設置した内装仕上げや付帯設備の総称です。具体的には、壁紙や壁材の仕上げ、天井の造作、床材の施工、照明器具、空調設備、間仕切り、カウンター、棚、看板などが含まれます。

建物の躯体(柱・梁・外壁・屋根など)はビルオーナー(貸主)の所有物ですが、テナントが入居後に自費で施工した内装部分は、原則としてテナント自身の資産となります。この区別が保険加入や退去時の原状回復において重要な意味を持ちます。

飲食店であれば厨房設備や客席の造作、オフィスであれば会議室の間仕切りやOAフロア、美容室であればシャンプー台や鏡台の設置工事などが内装造作に該当します。

内装造作の保険での扱い

建物と設備・什器等の区分

火災保険では、保険の対象を「建物」「設備・什器等」「商品・製品等」に分類しています。建物とは土地に定着し、屋根および柱または壁を有するものを指し、テナントが後から施工した内装造作は建物本体とは別の資産として扱われます。

テナントが自費で行った内装工事や設置した設備は、「設備・什器等」に分類されます。日本損害保険協会の解説によると、設備・什器等とは建物内に収容される業務用の設備、装置、什器、備品等の動産を指します。内装を工事した場合はその内装も、外装を工事した場合は外装も、看板や厨房設備も含めて設備・什器等の対象となります。

テナントが保険をかける必要性

ビルオーナーが建物本体にかけている火災保険では、テナントが施工した内装造作は補償されません。テナント自身が設備・什器等として保険の対象に含め、別途火災保険を契約する必要があります。

保険金額の設定にあたっては、内装工事の費用、設置した設備機器の価額、什器備品の価額を合算して算出します。再調達価額(同等のものを新たに施工・購入するために必要な金額)で設定するのが一般的です。

借家人賠償責任保険との関係

テナントが加入すべき保険として、設備・什器等の火災保険に加え、借家人賠償責任保険も重要です。日本損害保険協会の損害保険Q&Aでは、借家人賠償責任保険はテナントの過失による火災などで借用している建物本体に損害を与えた場合に、貸主への賠償責任を補償するものと解説されています。

内装造作の損害は自身の設備・什器等の火災保険で、建物本体への損害賠償は借家人賠償責任保険でカバーするという形で、両方の保険を組み合わせて備えることが求められます。

テナント入居時の注意点

造作の所有権を明確にする

賃貸借契約を締結する際は、内装造作の所有権がテナントと貸主のどちらに帰属するかを契約書で明確にしておくことが大切です。入居時にすでに設置されていた造作(前テナントから引き継いだものを含む)と、自費で新たに施工した造作を区別し、一覧表にまとめておくと、退去時や保険金請求時のトラブルを防げます。

原状回復義務との関係

テナントは退去時に原状回復義務を負うのが一般的です。原状回復とは、入居前の状態に戻すことを意味し、テナントが施工した内装造作は原則として撤去しなければなりません。

一方、借地借家法第33条では「造作買取請求権」が規定されています。これは、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作について、賃貸借の終了時に賃貸人に時価での買い取りを請求できる権利です。ただし、この規定は任意規定であり、契約で排除することも可能です。契約内容によっては造作を残したまま退去できる場合(居抜き)もあるため、原状回復の範囲と造作の取り扱いについて契約時に貸主と取り決めておくことが重要です。

保険加入時の確認事項

テナントとして火災保険に加入する際は、以下の点を確認しましょう。

  • 内装工事費用の総額を正確に把握し、設備・什器等の保険金額に反映させる
  • 什器備品や商品と内装造作を合わせて漏れなく保険の対象に含める
  • 借家人賠償責任保険の支払限度額が建物本体の損害をカバーできる水準か確認する
  • 休業損害の補償が必要かどうかを検討する(内装の復旧工事期間中は営業できない可能性がある)

参考文献

  1. 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A 問52 火災保険 - 借家人賠償責任保険の定義とテナントが加入すべき保険の解説
  2. 日本損害保険協会 - 企業財産のリスク - 建物・設備什器等・商品の損害を補償する企業向け火災保険の解説
  3. 損保ジャパン - 企業総合補償保険 - 建物や設備の損害から休業損失まで企業財産をまとめて補償する保険の概要
  4. 借地借家法(平成三年法律第九十号) - 造作買取請求権(第33条)の規定