火災保険の引っ越し手続き|解約・住所変更ガイド
この記事のポイント
引っ越し時の火災保険は賃貸か持ち家かで手続きが異なり、解約・住所変更・新規加入の3パターンがあります。無保険期間を作らないための手順とタイミングを専門家が解説します。
引っ越しが決まったとき、荷造りや転居届などやることは山ほどありますが、火災保険の手続きを忘れていませんか。火災保険は住所が変わると補償内容や契約条件にも影響するため、適切なタイミングで手続きを行わないと、無保険の期間ができてしまうリスクがあります。
引っ越し時の火災保険の手続きは、賃貸か持ち家かによって解約・住所変更・新規加入の3パターンに分かれます。手続きを後回しにすると無保険期間が生じて大きな損害を被る可能性があるため、引っ越し前に計画を立てておくことが大切です。この記事では、引っ越し時に必要な火災保険の手続きをパターン別にわかりやすく解説します。

引っ越し時に火災保険で必要な手続きとは
引っ越しをする際、火災保険に関して必要な手続きは大きく3つに分かれます。どの手続きが必要かは、現在の住居形態と引っ越し先の住居形態の組み合わせによって変わります。
3つの手続きパターン
引っ越し時に発生する火災保険の手続きは以下の3つです。
- 解約: 今の火災保険を解約し、新居で新たに加入する
- 住所変更: 今の火災保険をそのまま継続し、住所のみ変更する
- 新規加入: 引っ越し先で新しい火災保険に加入する

引っ越し先が賃貸か持ち家かで手続きは変わりますか?
パターン別の手続き早見表
| 引っ越しパターン | 必要な手続き | 補足 |
|---|---|---|
| 賃貸から賃貸 | 解約+新規加入 | 不動産会社指定でなくてもよい |
| 賃貸から持ち家 | 解約+新規加入 | 建物の補償が新たに必要 |
| 持ち家から持ち家 | 住所変更 or 解約+新規加入 | 保険料が変わる場合がある |
それぞれのパターンについて、具体的な手続き方法を順番に見ていきましょう。
賃貸から賃貸へ引っ越す場合の手続き
賃貸から賃貸への引っ越しは、最も多いパターンの一つです。この場合、基本的には旧居の火災保険を解約して、新居で新しい火災保険に加入する流れになります。
旧居の火災保険を解約する
賃貸の火災保険は通常2年契約で、入居時に不動産会社経由で加入しているケースがほとんどです。引っ越しの際にはこの保険を解約する必要があります。
解約手続きの流れは以下のとおりです。
- 保険証券を確認して保険会社・代理店の連絡先を把握する
- 保険会社または代理店に電話やウェブで解約を申し出る
- 必要書類が届いたら記入して返送する
- 解約返戻金がある場合は指定口座に振り込まれる
解約返戻金の仕組みについて詳しく知りたい方は火災保険の解約方法を参考にしてください。
新居の火災保険に加入する
新居での火災保険加入にあたって押さえておきたいポイントがあります。
不動産会社から「この火災保険に加入してください」と指定されることがありますが、実は火災保険は自分で選ぶことができます。不動産会社が指定する保険に入る義務はなく、自分で比較して安い保険を選べば年間数千円の節約になるケースもあります。
賃貸で必要な火災保険の補償内容は主に3つです。
- 家財保険: 自分の家具や家電などの持ち物を補償
- 借家人賠償責任保険: 借りている部屋を損傷した場合の大家さんへの賠償を補償
- 個人賠償責任保険: 日常生活で第三者に損害を与えた場合の賠償を補償
賃貸の火災保険の相場については火災保険の賃貸の相場で詳しく解説しています。
賃貸から持ち家へ引っ越す場合の手続き
賃貸から持ち家(新築・中古問わず)への引っ越しでは、火災保険の内容が根本的に変わります。賃貸の火災保険では建物は大家さんが加入するため家財だけが補償対象でしたが、持ち家になると自分で建物の補償も確保しなければなりません。

旧居(賃貸)の火災保険を解約する
賃貸から持ち家への引っ越しでは、旧居の火災保険は解約一択です。賃貸用の保険は家財と賠償責任のみの補償であり、持ち家にそのまま流用することはできません。
解約のタイミングは、新居の火災保険が有効になったことを確認してから行うのが安全です。引っ越し後でも旧居の契約は有効ですので、慌てずに手続きを進めてください。
新居(持ち家)の火災保険に加入する
持ち家の火災保険は、建物と家財の両方を補償する契約が一般的です。住宅ローンを組む場合は、金融機関から火災保険への加入を求められることがほとんどです。

住宅ローンを組むときは銀行に言われた火災保険に入るべきですか?
持ち家の火災保険で検討すべき補償内容は多岐にわたります。
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 風災、雹(ひょう)災、雪災
- 水災(洪水、土砂崩れなど)
- 水濡れ、物体の飛来
- 盗難
- 破損・汚損
- 地震保険の付帯
火災保険の選び方について詳しくは火災保険の選び方を参考にしてください。
見積もりの取り方については火災保険の見積もりで解説しています。
持ち家から持ち家へ引っ越す場合の手続き
持ち家から持ち家への引っ越し(住み替え)では、現在の火災保険を住所変更して継続するか、解約して新たに加入するかの2つの選択肢があります。どちらを選ぶかは、建物の構造や補償内容、保険料のバランスによって判断します。
住所変更で継続する場合
同じ保険会社の契約をそのまま続けたい場合は、住所変更(異動手続き)を行います。住所変更をすると、新居の建物の構造や所在地に応じて保険料が再計算されます。
住所変更で継続するメリットは以下のとおりです。
- 保険の空白期間が生じにくい
- 手続きが比較的簡単
- これまでの契約実績が引き継がれる
一方、デメリットもあります。
- 建物の構造や所在地が変わると保険料が高くなる場合がある
- 新居に合わせた補償内容の見直しが必要
- 他社との比較の機会を逃す可能性がある
解約して新規加入する場合
建物の構造が大きく変わる場合(木造一戸建てからマンションへの住み替えなど)は、解約して新規加入するほうが合理的なケースが多いです。
解約・新規加入を選ぶべきケースには以下のようなものがあります。
- 旧居と新居で建物構造が異なる(木造から鉄筋コンクリートなど)
- 補償内容を大幅に変更したい
- 現在の保険料に不満がある
- 保険の契約期間が残り少ない
火災保険の解約手続きの流れ
ここからは、引っ越しに伴う火災保険の解約手続きについて、具体的な流れとスケジュールを解説します。
解約の具体的な手順
火災保険の解約は以下の手順で進めます。
- 保険証券を手元に用意する
- 保険会社または代理店に連絡し、引っ越しに伴う解約の旨を伝える
- 解約届など必要書類が送付される
- 必要事項を記入し、署名・捺印のうえ返送する
- 解約返戻金がある場合は2〜3週間程度で指定口座に振り込まれる
解約に必要なもの
解約手続きに必要なものは一般的に以下のとおりです。
- 保険証券(証券番号がわかればOK)
- 本人確認書類
- 印鑑
- 解約返戻金の振込先口座情報
保険会社によってはウェブサイトやマイページから解約手続きができる場合もあります。電話で連絡する場合は、平日の日中が比較的つながりやすい時間帯です。
解約返戻金について
長期契約で保険料を一括払いしている場合は、残りの保険期間に応じた解約返戻金が返ってきます。
解約返戻金の目安は以下のとおりです。
| 契約期間 | 経過期間 | 返戻率の目安 |
|---|---|---|
| 2年契約 | 1年経過 | 約40〜50% |
| 5年契約 | 2年経過 | 約50〜60% |
| 5年契約 | 3年経過 | 約30〜40% |
返戻率は保険会社によって異なり、短期料率表に基づいて計算されます。単純な日割り計算ではないため、正確な金額は保険会社に確認してください。
火災保険の住所変更手続きの方法
持ち家から持ち家への引っ越しで、火災保険を継続する場合に必要となるのが住所変更(異動手続き)です。手続きの流れとタイミングを確認しましょう。
住所変更の具体的な手順
住所変更の手続きは以下の流れで進みます。
- 保険会社または代理店に連絡し、住所変更の旨を伝える
- 新居の所在地、構造、面積などの情報を伝える
- 保険料の再計算が行われる
- 差額の保険料が発生する場合は精算する
- 変更後の保険証券が届く

住所変更で保険料が変わることはありますか?
住所変更手続きのタイミング
住所変更手続きは以下のスケジュールで進めるのが理想的です。
- 引っ越しの1〜2か月前: 保険会社に住所変更の予定を連絡
- 引っ越しの2週間前: 新居の情報(住所、構造、面積)を保険会社に提出
- 引っ越し日: 変更後の保険が新居に適用される
住所変更ができないケース
以下のケースでは住所変更ではなく、解約・新規加入が必要になります。
- 建物の構造が大きく変わる場合(木造一戸建てからマンションなど)
- 建物の用途が変わる場合(住宅から店舗併用住宅など)
- 保険の対象そのものが変わる場合(旧居の建物から新居の建物への変更)
厳密には、住所変更とは「同じ建物の住所が変更になった場合」の手続きです。引っ越しの場合は保険の対象である建物自体が変わるため、実際には「契約条件の変更(異動手続き)」として処理されます。保険会社に相談して最適な方法を確認してください。
新規加入のタイミングと注意点
引っ越し先で新しい火災保険に加入する場合、タイミングの見極めが重要です。早すぎても遅すぎても問題が生じる可能性があるため、適切な時期に手続きを進めましょう。
新規加入のベストタイミング
新居の火災保険は、遅くとも引っ越し日(鍵の引き渡し日)までに補償が開始されるよう加入しておく必要があります。
賃貸の場合のスケジュールは以下のとおりです。
- 物件の契約が決まったタイミングで火災保険を検討する
- 入居日の2〜3週間前までに保険の申し込みを完了する
- 入居日を補償開始日に設定する
- 入居日に保険証券のコピーを不動産会社に提出する
持ち家の場合のスケジュールは以下のとおりです。
- 売買契約の締結後、住宅ローン審査と並行して火災保険を検討する
- 引き渡し日の1か月前までに複数社で見積もりを比較する
- 引き渡し日の2週間前までに保険を決定して申し込む
- 引き渡し日(融資実行日)を補償開始日に設定する
加入時に確認すべきこと
新しい火災保険に加入する際には、以下の点を確認しておくと安心です。
- 補償開始日が引っ越し日と一致しているか
- 建物の構造(構造級別)が正しく設定されているか
- 補償内容が新居のリスクに合っているか
- 保険金額が適切に設定されているか
- 特約の要否を検討したか
火災保険の保険料は、建物の構造、所在地、補償内容、保険金額によって決まります。構造級別は保険料に大きく影響するため、建物の構造が正しく反映されているか確認してください。
無保険期間を避けるためのポイント
引っ越し時に最も注意すべきなのが、火災保険の「無保険期間」です。旧居の保険を解約してから新居の保険が始まるまでの空白期間に災害が起きると、一切の補償が受けられません。
無保険期間が生じる原因
無保険期間が生じてしまう主な原因は以下のとおりです。
- 旧居の保険を引っ越し前に解約してしまう
- 新居の保険の加入手続きが遅れる
- 解約日と新規保険の開始日がずれている
- 引っ越し日が変更になったのに保険の日程を調整していない

無保険期間が1日でもあるとどうなりますか?
無保険期間を防ぐ3つのルール
無保険期間を作らないために、以下の3つのルールを守ってください。
1つ目は、新居の保険を先に契約することです。新居の火災保険は引っ越し前に申し込みを完了し、補償開始日を引っ越し日(鍵の引き渡し日)に設定してください。新居の保険が確実に有効になったことを確認してから、旧居の保険の解約手続きを進めます。
2つ目は、旧居の保険の解約日は引っ越し日以降にすることです。旧居にまだ荷物がある状態で保険を解約してしまうと、その間に何か起きたときに補償されません。引っ越し作業が完了した後で解約日を設定するのが安全です。
3つ目は、保険の重複期間を恐れないことです。旧居の保険と新居の保険が数日間重なっても大きな問題はありません。数日分の保険料よりも、無保険のリスクのほうがはるかに大きいです。安全を重視して、少し重なるくらいのスケジュールで手配しましょう。
引っ越しスケジュールと保険手続きの流れ
理想的なスケジュールをまとめると以下のようになります。
- 引っ越し1か月前: 新居の火災保険の比較・検討を開始
- 引っ越し2〜3週間前: 新居の火災保険を申し込み、補償開始日を引っ越し日に設定
- 引っ越し1〜2週間前: 旧居の保険会社に解約の連絡、解約日を引っ越し日以降に設定
- 引っ越し当日: 新居の保険が有効であることを確認
- 引っ越し後1週間以内: 旧居の保険の解約手続きを完了
- 解約後2〜3週間: 解約返戻金が振り込まれる
この記事のまとめ
- 引っ越し時の火災保険は賃貸か持ち家かで手続きが異なり、解約・住所変更・新規加入の3パターンがある
- 賃貸から賃貸なら解約して新規加入、賃貸から持ち家なら解約して建物補償のある保険に新規加入する
- 持ち家から持ち家なら住所変更で継続するか、解約・新規加入するかを比較して判断する
- 無保険期間を作らないために、新居の保険を先に契約し、旧居の解約は引っ越し後に行う
- 引っ越しは火災保険を見直す好機なので、複数社で見積もりを比較して最適な保険を選ぶ
よくある質問
引っ越し時に火災保険はどうすればよいですか?
引っ越し先の住居形態によって対応が異なります。賃貸から賃貸なら解約して新規加入、賃貸から持ち家なら解約して建物と家財の両方をカバーする保険に新規加入、持ち家から持ち家なら住所変更または解約・新規加入のいずれかを選びます。
引っ越しで火災保険を解約すると返金はありますか?
長期契約で保険料を一括払いしている場合は、残りの保険期間に応じた解約返戻金が返金されます。月払いや年払いの場合は返戻金が発生しないか、ごく少額になります。
引っ越し時に火災保険の無保険期間を防ぐにはどうすればよいですか?
新居の火災保険の補償開始日を引っ越し日(鍵の引き渡し日)に合わせ、旧居の保険は引っ越し完了後に解約するのが安全です。新居の保険を先に契約し、旧居の解約は後からにしてください。
火災保険の住所変更手続きはいつまでにすればよいですか?
住所変更手続きは引っ越しの1〜2週間前に保険会社へ連絡するのが理想的です。遅くとも引っ越し日の前日までには連絡してください。住所変更が遅れると、万が一の際に保険金の支払いが遅れる可能性があります。
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