サイバー保険の相談で個人情報漏洩が最多な理由
この記事のポイント
サイバー保険の相談で最も多いテーマは個人情報漏洩です。中小企業の経営者はサイバー攻撃を受ける実感が薄い一方、情報漏洩への懸念が加入のきっかけになっています。相談の実態を専門家が解説します
サイバー保険の相談で最も多いテーマは個人情報漏洩です。中小企業の経営者の多くは「自社がサイバー攻撃を受ける」という感覚を持っていませんが、顧客データの漏洩への不安がサイバー保険を検討するきっかけになっています。

サイバー保険の相談で個人情報漏洩が一番多い理由
サイバー保険の専門家によると、お客さんが最初に気にするテーマは圧倒的に個人情報漏洩です。ランサムウェアやシステム停止よりも、「顧客の情報が漏れたらどうなるのか」という不安が、保険を検討するきっかけになるケースが最も多いとされています。
その背景には、中小企業の経営者がサイバー攻撃そのものに対して「うちには関係ない」と感じていることがあります。自社がサイバー攻撃の標的になるという実感を持っている経営者はほとんどいません。実際に漏洩が起きた場合の賠償額については個人情報漏洩の損害賠償額の実態で詳しく解説しています。
一方で、実際にサイバー攻撃は無差別に行われており、セキュリティが弱いところから狙われます。企業の規模に関係なくリスクは高まっており、中小企業であっても被害に遭う事例は増えています。被害が起きた場合の調査費用やシステム復旧費用についてはサイバー保険がカバーする調査・復旧費用をご覧ください。
ECサイト運営者からの相談が特に多い
個人情報漏洩に関する相談の中でも、ECサイトを運営している企業からの問い合わせが目立ちます。数万件の顧客情報を扱っている事業者が「もしこの情報が流出したらどうなるのか」「賠償金はどのくらい払わなければいけないのか」といった不安を抱えて相談に来るケースが多いのです。
ECサイト運営者が特に気にするのは以下のポイントです。
- 漏洩した場合の被害額がどのくらいになるか
- 賠償金をどれだけ払わなければいけないか
- サイバー保険でどこまでカバーできるか

ECサイトで数万件の顧客情報を扱っています。もし漏洩したらどのくらいの費用がかかるのですか?
中小企業で情報漏洩が実際に起きるケースは少ない
ここで重要な事実があります。サイバー保険の専門家によると、中小企業で実際に情報漏洩まで発展したケースはあまり聞かないそうです。
大手企業では顧客情報が何十万件も漏洩して大きなニュースになることがありますが、中小企業の場合はランサムウェアによるシステム停止や業務妨害が主な被害です。情報漏洩そのものよりも、システムの復旧や調査にかかる費用が大きな負担になります。
ただし「起きていないから大丈夫」とは言い切れません。サイバー攻撃は年々巧妙になっており、中小企業が踏み台として利用され、そこから大企業に攻撃が及ぶケースもあります。
クレジットカード情報の漏洩リスクは実は低い
個人情報漏洩というと、クレジットカード情報の流出を心配する経営者も多いですが、実際にはクレジットカード情報を自社で保管している企業はほとんどありません。
現在の決済システムでは、クレジットカード情報は外部の決済サービスに保管されるのが主流です。そのため、自社がハッキングされてもクレジットカード情報が直接漏洩するリスクは低くなっています。
サイバー保険の賠償責任の補償は、実際にはあまり使われることがありません。使われるのは主に事故対応費用、つまりフォレンジック調査や通知費用、復旧にかかる費用の部分です。
無差別攻撃で中小企業も標的になっている
サイバー攻撃は特定の企業を狙うものだけでなく、無差別にセキュリティが弱いところを狙って攻撃してくる傾向があります。企業の規模にかかわらずリスクが高まっているのが現状です。
実際に、売上50億円、従業員30人から50人規模の中小企業がランサムウェアに感染し、事故対応費用だけで約1,100万円がかかった事例があります。この企業はIT部門もあり、セキュリティ対策もしっかり行っていましたが、それでも被害に遭いました。
さらに注意が必要なのは、中小企業が大企業を攻撃するための「踏み台」として利用されるケースです。中小企業のセキュリティを突破し、そこを経由して取引先の大企業にアクセスするという手口が報告されています。自社だけでなく取引先にも被害が及ぶ可能性があるため、中小企業であってもサイバーセキュリティを軽視できない状況です。ランサムウェア被害の見えにくいコストについてはランサムウェアの隠れたコストとは?で詳しく取り上げています。
サイバー保険の付帯サービスの価値
サイバー保険に加入するメリットは、保険金の支払いだけではありません。保険会社が提供する付帯サービスも大きな価値があります。
主な付帯サービスには以下のようなものがあります。
- インシデント発生時の初動対応サポート
- フォレンジック調査の専門業者紹介
- サイバーリスクモニタリングサービス
- 法的対応に関するアドバイス
中小企業の場合、サイバー攻撃を受けた際にどこに連絡すればいいのか、原因調査はどう進めればいいのかがわからないケースがほとんどです。保険会社の付帯サービスに連絡すれば、専門の業者を紹介してもらえるなど、事故対応を外注するようなイメージで活用できます。付帯サービスの具体的な内容についてはサイバー保険のインシデント対応サービスを徹底解説も参考になります。
平常時でもサイバーリスクモニタリングサービスを利用することで、自社のホームページのセキュリティ状況や社内ネットワークのリスクを把握することができます。
個人情報保護法の改正で相談が増加傾向
近年の個人情報保護法の改正によって、企業の報告義務や説明責任が強化されました。この法改正をきっかけに「しっかり対策しなければ」というリスク意識が高まり、サイバー保険を検討する企業が増えています。
法改正のポイントとサイバー保険への影響は以下の通りです。
| 法改正の内容 | 企業への影響 |
|---|---|
| 報告義務の強化 | 漏洩時に迅速な報告が必要 |
| 説明責任の拡大 | 被害者への丁寧な説明が求められる |
こうした対応にかかる費用もサイバー保険でカバーできるため、法改正を機に加入を検討する企業が少しずつ増えているのが現状です。法改正の詳細とサイバー保険への影響については個人情報保護法改正がサイバー保険に与える影響で解説しています。
サイバー保険は年間数万円から加入できる
サイバー保険の保険料は意外とリーズナブルです。最もシンプルなプランであれば、年間数万円から加入できます。
特に情報漏洩に限定した補償プランであれば、保険料はそこまで高くありません。売上規模が数千万円から1億円程度の中小企業であれば、年間数万円の保険料で基本的な補償を受けることができます。
セキュリティ対策と保険は両輪で考える
サイバー保険に加入するだけでなく、セキュリティ対策そのものを強化することが最も重要です。保険はあくまで「万が一のための備え」であり、まずは被害を防ぐための対策が先です。
最低限取り組むべきセキュリティ対策は以下の通りです。
- 2段階認証の導入
- VPNによる暗号化されたネットワーク経路の確保
- 従業員へのセキュリティ教育の徹底
- OSやソフトウェアの定期的なアップデート
- データのバックアップ
特に従業員教育は重要です。サイバー攻撃の入口として最も多いのはメール経由の攻撃で、不審なメールのリンクを開いてしまうことがきっかけになるケースが目立ちます。
こうした基本的なセキュリティ対策を整えたうえで、それでも防ぎきれないリスクに備えてサイバー保険に加入するという考え方が正しい順番です。実際にセキュリティ対策をしっかり行っていた企業でもサイバー攻撃の被害に遭った事例があるため、保険による備えも欠かせません。
顧客データを扱う企業の最低限の備えでは、個人情報を扱う中小企業が取り組むべき具体的な対策を詳しく解説しています。
この記事のまとめ
- サイバー保険の相談で最も多いテーマは個人情報漏洩で、特にECサイト運営者からの問い合わせが目立つ
- 中小企業の経営者はサイバー攻撃を受ける実感が薄いが、情報漏洩への不安が保険検討のきっかけになっている
- 中小企業で実際に情報漏洩まで発展するケースは少ないが、サイバー攻撃は無差別に行われておりリスクは高まっている
- サイバー保険は年間数万円から加入でき、セキュリティ対策と合わせて導入することが重要
サイバー保険の相談で個人情報漏洩関連はどのくらいの割合ですか?
サイバー保険の検討の入り口として、個人情報漏洩に関する相談が最も多いです。ECサイト運営者など数万件の個人情報を扱う企業からの相談が特に目立ちます。
中小企業でもサイバー保険は必要ですか?
パソコンを使っている限り、無差別攻撃のリスクがあります。パソコン1台の調査だけで100万円かかるため、規模を問わず加入の検討をおすすめします。
個人情報漏洩の相談はどのような業種から多いですか?
ECサイト運営者やオンラインサービスを提供する企業からの相談が多いです。数万件規模の顧客データを扱っており、漏洩時の被害額を心配して相談に来るケースが目立ちます。
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