サイバー保険(せんそうめんせき)

戦争免責とは

一言でいうと

戦争や内乱、外国政府が関与する大規模な攻撃などによって生じた損害を、保険金支払いの対象から除く約款上の取り決めのことです。サイバー保険では、国家が関与する重大なサイバー攻撃を「戦争免責」として扱うかどうかが論点になっています。被害が同時かつ広範囲に及び、巨額になりうるリスクを保険でカバーしきれないことが背景にあります。

戦争免責とは

戦争免責とは、戦争・内乱・革命などの事態によって生じた損害を、保険金支払いの対象から除外する約款上の取り決めのことです。多くの損害保険では、普通保険約款や特約のなかで戦争関連のリスクを補償の対象外と定めています。

戦争による損害は、多くの業種・契約にまたがって同時に発生し、全体として巨額になる可能性があります。また、いつ・どの規模で起きるかを予測して保険料を算定することが難しいため、保険の仕組みでカバーしきれないリスクとして扱われてきました。

なぜ戦争による損害は除外されるのか

保険は、多数の契約者から保険料を集め、一部の人に生じた損害を分散して負担する仕組みで成り立っています。これは、事故が個別に・ばらばらに発生することを前提としています。

戦争のように被害が同時かつ広域に発生する事態では、多くの契約で一斉に保険金請求が起こり、保険会社が負担しきれない規模になる恐れがあります。こうした「集積リスク」を引き受けると保険制度そのものが成り立たなくなるため、戦争関連の損害は一般的に補償の対象から外されています。

サイバー保険における戦争免責の論点

近年、サイバー保険の分野で戦争免責が大きな論点となっています。背景にあるのは、外国政府が関与すると指摘される大規模なサイバー攻撃の増加です。

日本損害保険協会の解説によれば、サイバー攻撃は企業規模を問わず幅広い業種が標的となっており、損害が大規模化する傾向があります。国家が関与するサイバー攻撃は、同時かつ広域に被害をもたらし巨大な損失につながりうるため、こうした攻撃を従来の「戦争免責」の枠組みでどう扱うかが議論されています。

国内外で免責条項の明確化が進められていますが、何をもって「国家の関与」と判断するか、適用範囲をどう線引きするかについては依然として課題が残っており、契約者と保険会社の間で見解が分かれる可能性があります。サイバー保険を検討する際は、約款のなかで戦争・国家関与に関する免責がどのように定められているかを確認しておくことが大切です。

参考文献

  1. 損害保険事業総合研究所 - 国家の関与するサイバー攻撃とサイバー保険の戦争免責条項について - 戦争免責条項とサイバーリスクの関係を解説したレポート
  2. 日本損害保険協会 - サイバー保険(企業のための保険ナビ) - サイバー保険の補償内容とリスクの解説
  3. IPA(情報処理推進機構) - 情報セキュリティ10大脅威 - サイバー攻撃の最新動向の解説