参考純率とは
一言でいうと
損害保険料率算出機構が算出する純保険料率のこと。保険会社が自社の保険料率を決定する際の基礎として活用できる参考数値で、使用義務はありません。火災保険・自動車保険・傷害保険・医療費用保険・介護費用保険の5種目が対象です。
参考純率とは
参考純率とは、損害保険料率算出機構(損保料率機構)が算出する純保険料率のことです。各損害保険会社は、自社の保険料率を決定する際に、この参考純率を基礎として活用できます。
損保料率機構は「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づき設立された料率算出団体です。1948年に前身の損害保険料率算定会(損算会)が設立され、2002年に自動車保険料率算定会(自算会)と統合して現在の組織が発足しました。会員保険会社から収集した大量の契約データや支払データをもとに、科学的・工学的手法と保険数理を用いて参考純率を算出しています。
対象となる保険種目は、火災保険、自動車保険、傷害保険、医療費用保険、介護費用保険の5種類です。
各保険会社には参考純率の使用義務はありません。1998年の法改正で保険料率が自由化され、かつての「算定会料率」(遵守義務あり)から使用義務のない「参考純率」へと制度が変わりました。独占禁止法の観点からも、保険会社は参考純率をそのまま採用する必要はなく、自社の経営判断で独自に保険料率を設定できます。
純保険料率と付加保険料率
損害保険の保険料率は「純保険料率」と「付加保険料率」で構成されています。純保険料率は将来の保険金支払いに充てられる部分で、損保料率機構が算出する参考純率はこれにあたります。付加保険料率は保険会社の運営経費(人件費、事務費、代理店手数料など)に充てられる部分で、各社が独自に算出します。
保険料率の3原則
保険料率は以下の3つの原則に適合する必要があります。
- 合理的であること: 客観的で精度の高い統計データに基づいていること
- 妥当であること: 将来の保険金支払いに過不足がないこと
- 不当に差別的でないこと: 実態的なリスク格差に基づいた公平な料率であること
損保料率機構が参考純率を金融庁長官に届け出ると、この3原則への適合性審査が行われます。
火災保険参考純率の改定と水災料率の細分化
近年は自然災害の増加や住宅修繕費用の高騰を背景に、火災保険の参考純率は引き上げ傾向が続いています。
| 届出時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2014年6月 | 自然災害の増加等を踏まえた改定 |
| 2018年5月 | 大規模自然災害の影響を反映した改定 |
| 2019年10月 | 台風被害等を踏まえた改定 |
| 2021年5月 | 自然災害リスクの増大を反映した改定 |
| 2023年6月 | 全国平均13.0%引き上げ、水災料率の5区分細分化を導入 |
2023年6月の改定では、住宅総合保険の参考純率が全国平均で13.0%引き上げられました。あわせて、それまで全国一律だった水災料率が市区町村単位で5つの等地(1等地から5等地)に細分化されました。水災リスクが低い地域では保険料が抑えられ、リスクが高い地域では保険料が高くなる仕組みとなり、契約者間の保険料負担の公平化が図られています。
参考純率が改定されても、各保険会社は自社の経営方針やデータを加味して保険料を設定するため、実際の改定幅は会社ごとに異なります。
参考文献
- 損害保険料率算出機構 - 保険料率の算出 - 参考純率の算出方法と対象保険種目の解説
- 損害保険料率算出機構 - 保険料率に関するよくあるご質問 - 参考純率の使用義務や適合性審査についてのQ&A
- 日本損害保険協会 - 損害保険料の仕組みについて - 純保険料と付加保険料の構成の解説
- 損害保険料率算出機構 - 火災保険参考純率 - 火災保険参考純率の改定履歴と水災料率細分化の詳細
- 損害保険料率算出機構 - 組織概要 - 損保料率機構の設立経緯と組織の概要
