契約・手続き(りさいしょうめいしょ)

罹災証明書とは

一言でいうと

災害によって住家が受けた被害の程度を市区町村が証明する公的書類です。災害対策基本法第90条の2に基づき、全壊から一部損壊までの6段階で被害を認定します。被災者生活再建支援金の申請や税金の減免など、各種支援制度を利用する際に必要となります。

罹災証明書とは

罹災証明書とは、地震や台風、洪水などの自然災害によって住家が受けた被害の程度を、市区町村が調査のうえ証明する公的書類です。災害対策基本法第90条の2に基づき、市町村長は被災者からの申請を受けて、遅滞なく住家の被害状況を調査し、罹災証明書を交付しなければならないと定められています。

火災による被害の場合は消防署が「り災証明書」を発行し、自然災害による被害の場合は各市区町村の担当窓口が発行します。

被害認定の6区分

罹災証明書に記載される被害の程度は、内閣府が定めた「被害認定基準運用指針」に基づき、以下の6区分で認定されます。

区分損害割合の目安
全壊住家の損害割合が50%以上
大規模半壊住家の損害割合が40%以上50%未満
中規模半壊住家の損害割合が30%以上40%未満
半壊住家の損害割合が20%以上30%未満
準半壊住家の損害割合が10%以上20%未満
準半壊に至らない(一部損壊)住家の損害割合が10%未満

認定にあたっては、住家の主要構造部である屋根、壁、基礎などの被害状況と、延床面積に対する損壊割合を総合的に判断します。調査は1次調査(外観目視)と2次調査(内部立入)の2段階で行われ、認定結果に不服がある場合は再調査を申請できます。

申請方法と発行の流れ

申請場所と必要書類

自然災害の場合は、被災した住家がある市区町村の担当窓口(防災課や税務課など自治体により異なる)で申請します。火災の場合は所轄の消防署が窓口です。

一般的に必要な書類は以下のとおりです。

  • 罹災証明書交付申請書(各自治体所定の様式)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 被害状況がわかる写真
  • 印鑑
  • 委任状(代理申請の場合)

発行までの流れ

  1. 被災後、速やかに被害状況を写真で記録する
  2. 市区町村の担当窓口に申請書を提出する
  3. 市区町村の調査員が現地調査を行い、被害の程度を認定する
  4. 認定結果に基づき、罹災証明書が交付される

発行までの所要期間は通常1週間から数週間程度ですが、大規模災害の場合は自治体の業務が集中するため、1か月以上かかることもあります。被災後はできるだけ早く申請することが大切です。

罹災証明書で受けられる主な支援

罹災証明書は、被災後にさまざまな公的支援を受ける際の基礎書類となります。被害認定の区分によって利用できる制度や支給額が異なります。

支援制度概要
被災者生活再建支援金全壊で最大300万円(基礎支援金100万円+加算支援金200万円)が支給される
災害弔慰金・災害障害見舞金災害による死亡(最大500万円)や重度障害(最大250万円)に対する見舞金
住宅の応急修理制度災害救助法に基づき、半壊以上の住家について応急修理費用が支援される
税金・社会保険料の減免所得税の雑損控除、住民税、国民健康保険料などの減免措置
義援金の受給日本赤十字社等が集めた義援金が被害の程度に応じて配分される
災害援護資金の貸付所得制限の範囲内で低利の貸付が受けられる

火災保険請求との関係

火災保険の請求に罹災証明書は必須ではない

火災保険の保険金を請求する際、罹災証明書の提出は原則として不要です。日本損害保険協会は「損害保険の保険金等の請求に際しては、地方自治体から交付される罹災証明書の提出は原則不要」との見解を示しています。保険会社は独自の損害査定基準で損害額を認定するため、行政の被害認定とは別の手続きとなります。

ただし、保険会社から追加書類として提出を求められる場合もあるため、災害後は念のため取得しておくと安心です。

認定基準の違い

罹災証明書の被害認定は、内閣府の「被害認定基準運用指針」に基づく行政上の認定です。一方、火災保険や地震保険の損害認定は、日本損害保険協会が定める基準や各保険会社の査定基準に基づきます。そのため、罹災証明書で「半壊」と認定されても、保険の損害査定では異なる結果が出ることがあります。両者は目的も基準も異なる制度です。

被災時の注意点

火災保険の保険金請求には、事故発生から3年の請求期限があります(保険法第95条)。被災後は速やかに保険会社や代理店に連絡しましょう。また、片付けを始める前に損害状況を写真で記録しておくことが重要です。この写真は罹災証明書の申請にも保険金の請求にも活用できます。

参考文献

  1. 内閣府(防災) - 災害に係る住家の被害認定 - 被害認定基準運用指針と罹災証明書の様式統一化
  2. 日本損害保険協会 - 被災したときの保険金以外の支援制度 - 罹災証明書の概要と被災者支援制度の解説
  3. 内閣府(防災) - 被災者に対する支援制度 - 被災者生活再建支援法をはじめとする各種支援制度
  4. 日本損害保険協会 - 保険金の請求について - 損害保険の保険金請求手続きと必要書類