契約・手続き(めいきぶっけん)

明記物件とは

一言でいうと

火災保険の家財補償において、契約時に保険証券へ明記しなければ補償されない高額な物品のこと。1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨董品、美術品、稿本、設計書などが該当し、地震保険では補償の対象外となります。

明記物件とは

明記物件とは、火災保険で家財の補償を契約する際に、あらかじめ保険契約申込書に記載し、保険証券に明記しなければ補償の対象にならない高額な物品のことです。

通常の家財(家具、家電製品、衣類など)は家財保険に加入すれば自動的に補償の対象となります。しかし、高額な貴金属や美術品などは個々の価値の評価が難しく、通常の家財とは価格帯が大きく異なるため、契約時に個別の申告が求められています。

明記物件に該当するもの

1個または1組の価額が30万円を超える以下の物品が明記物件に該当します。

貴金属・宝石類

金やプラチナなどの貴金属製品、宝玉、宝石、ダイヤモンドの指輪やネックレスなどの宝飾品が対象です。30万円を超えるかどうかは、購入時の価格ではなく契約時点での時価で判断されます。

書画・骨董品・美術品

絵画、掛け軸などの書画、骨董品、彫刻物、その他の美術品が該当します。作者や希少性によって価値が大きく変動するため、鑑定書や購入時の領収書を保管しておくことが大切です。

稿本・設計書・図案類

稿本(原稿や草稿)、設計書、図案、証書、帳簿などの重要書類も明記物件に含まれます。これらは金額にかかわらず明記が必要とされるケースがあります。

補償限度額は保険会社ごとに異なる

明記物件を申告した場合の補償限度額は、保険会社や商品によって異なります。1事故あたり100万円を基本とする商品や、特約の付帯により増額できる商品など、取扱いはさまざまです。申告漏れがあった場合でも、保険商品によっては1個あたり30万円を上限として補償されることがありますが、確実な補償を受けるには契約時の適切な申告が欠かせません。

申告しない場合のリスク

明記物件を契約時に申告せず保険証券に明記していなかった場合、火災や盗難などで損害が発生しても保険金が支払われないおそれがあります。家財保険に加入していても、申告のない高額品は補償対象外として扱われることがあるため注意が必要です。

たとえば、自宅に保管していた100万円相当の宝石が盗難にあった場合でも、明記物件として申告していなければ、保険金が全く支払われないか、大幅に減額される可能性があります。

地震保険では補償の対象外

地震保険では、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨董品、美術品は、保険の対象に含まれません。火災保険で明記物件として申告していても、地震・噴火・津波による損害については地震保険からの補償は受けられないため、高額品を多数所有している場合は別途対策を検討する必要があります。

また、稿本、設計書、図案、証書、帳簿なども同様に地震保険の対象外です。

新たに高額品を取得した場合の手続き

火災保険の契約期間中に、新たに30万円を超える貴金属や美術品を購入した場合は、速やかに保険会社または保険代理店へ連絡し、保険証券への追記手続きを行うことが重要です。

保険契約の内容に変更が生じた場合には、保険契約者は遅滞なくその旨を保険会社に通知する義務(通知義務)があります。追加した高額品を申告しないまま損害が発生すると、その物品については補償を受けられない可能性があります。

高額品の購入時には領収書や鑑定書を保管し、申告に備えておくとよいでしょう。

参考文献

  1. 日本損害保険協会 - 火災保険 - 明記物件の定義と30万円超の高額品に関する解説
  2. 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A すまいの保険 問50 - 火災保険における家財補償と明記物件の取扱い
  3. 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A すまいの保険 問62 - 地震保険で補償対象外となる家財の一覧
  4. 損保ジャパン - 明記物件とは何ですか? - 明記物件の具体的な該当品目と申告手続き
  5. 総務省消防庁 防災危機管理eカレッジ - 火災保険の種類 - 火災保険における明記物件の位置づけ