告知義務とは
一言でいうと
保険に加入する際、健康状態や職業などについて保険会社に正確に申告する義務のこと。保険法では「質問応答義務」と位置づけられ、保険会社が質問した事項にのみ回答すればよいとされています。違反すると契約解除や保険金不払いの原因になります。
告知義務とは
告知義務とは、保険に加入する際に、健康状態や過去の病歴、職業などについて保険会社に対して正確に申告する義務のことです。
2010年に施行された保険法(第4条・第37条・第66条)では「質問応答義務」として規定されています。これは、保険会社が質問した事項に対して正確に回答する義務を意味します。保険会社から聞かれていないことまで自ら申告する必要はありません。旧商法では自発的申告義務とされていたため、保険法の施行により契約者の負担が軽減されました。
告知が必要な理由
保険は多くの加入者がお金を出し合い、万一の事態が起きた人に保険金を届ける「相互扶助」の仕組みで成り立っています。もし病気のリスクが高い人が事実を隠して加入すれば、リスクの低い加入者が不当に高い保険料を負担することになります。契約者間で公平な保険料の負担を保つために、正確な告知が欠かせません。
主な告知項目
生命保険・医療保険の場合
- 最近3ヶ月以内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けたか
- 過去5年以内に病気やケガで入院・手術をしたか
- 過去5年以内に7日以上にわたる投薬を受けたか
- 現在、治療中の病気があるか
- 身長・体重
- 障害の有無
- 職業
- 他の保険への加入状況
損害保険の場合
損害保険でも告知義務があり、保険の種類に応じた告知項目があります。たとえば自動車保険では車種・年式・使用目的・走行距離などが、火災保険では建物の構造・所在地・用途などが主な告知事項です。
告知の方法と告知受領権
告知は被保険者本人が、告知書(書面または画面)に直接記入して行います。保険会社が指定した医師に対して口頭で回答する方法もあります。
告知を受け取る権限(告知受領権)があるのは、保険会社と保険会社が指定した医師に限られます。営業職員や生命保険面接士への口頭での報告は、法的に有効な告知とはなりません。なお、損害保険では代理店に告知受領権がある場合もあります。
告知義務違反とは
告知すべき事実を伝えなかったり、事実と異なることを告知したりすることを告知義務違反といいます。
告知義務違反になる例
- 持病があるのに「なし」と申告した
- 通院中の病気を告知書に記入しなかった
- 過去の入院歴や手術歴を隠した
故意でなくても、重大な過失があれば告知義務違反に該当する可能性があります。
告知義務違反のペナルティ
契約解除
告知義務違反が発覚すると、保険会社は契約を解除できます。解除された時点で保障はなくなり、以後の保険金や給付金は受け取れません。
保険金の不払い
契約解除がなされた場合、それ以前に発生した保険事故であっても保険金が支払われないことがあります。ただし、告知されなかった事実と保険事故との間に因果関係がなければ、保険金が支払われる場合もあります。例えば、慢性C型肝炎を告知せずに加入し、その肝炎が原因で肝がんにより死亡した場合は保険金が支払われません。一方、同じ告知義務違反でも、告知内容と無関係の胃がんで死亡した場合は支払われる可能性があります。
詐欺に該当するケース
告知義務違反の内容が特に悪質な場合、詐欺として契約が取り消されることがあります。取り消しの場合、それまでに払い込んだ保険料も返還されません。
契約解除ができない場合
保険法では、以下の場合に保険会社は告知義務違反を理由とした契約解除ができないと定めています。
- 保険会社が契約時にその事実を知っていた、または過失により知らなかった場合
- 保険募集人が告知を妨げた場合や、告知しないよう勧めた場合
- 保険会社が解除の原因を知ってから1ヶ月を経過した場合
- 契約の締結から5年を経過した場合
また、多くの生命保険会社では約款で「責任開始日から2年を超えて契約が有効に継続したときは契約を解除できない」と定めており、保険法の規定より短い期間で解除権が消滅するケースもあります。
持病があっても加入できる保険
持病や既往症があっても加入しやすい保険には、主に2つのタイプがあります。
引受基準緩和型保険は、通常より告知項目が少なく(3〜5項目程度)、告知に該当しなければ原則として加入できます。契約後1年以内は保険金が削減される場合がありますが、保障の範囲は通常の保険に近いのが特徴です。
無選択型保険は、告知や医師の診査が不要で加入できます。ただし、契約後一定期間内に病気で死亡した場合は払込保険料相当額の返還にとどまることが多く、保険料も割高になります。
いずれも通常の保険より保険料が高く設定されているため、まずは通常の保険に加入できるかを確認したうえで検討するのがよいでしょう。
参考文献
- e-Gov法令検索 - 保険法(平成二十年法律第五十六号) - 告知義務に関する条文(第4条・第37条・第66条)
- 生命保険文化センター - 保険法の概要(各論) - 質問応答義務と告知義務違反の解除条件
- 生命保険文化センター - 病歴があったのに告知するのを忘れていたら? - 告知忘れへの対応と因果関係による保険金支払いの判断
- 金融庁 - 保険会社向けの総合的な監督指針 - 告知項目の制限と募集人による告知妨害の禁止
- 日本損害保険協会 - 損害保険の契約について - 損害保険における告知義務と告知受領権
