株主代表訴訟とは
一言でいうと
会社が役員の責任を追及しない場合に、株主が会社に代わって役員に対する損害賠償責任を追及する訴訟制度のこと。会社法第847条に規定されており、6ヶ月以上継続して株式を保有する株主であれば、保有株数にかかわらず提起できます。D&O保険の主要な補償対象となる訴訟類型です。
株主代表訴訟とは
株主代表訴訟とは、会社が役員(取締役、監査役、執行役など)の責任を追及する訴訟を提起しない場合に、株主が会社に代わって役員個人に対する損害賠償を求めて提起する訴訟のことです。会社法第847条に規定されています。
通常、役員が会社に損害を与えた場合、その責任を追及するのは会社自身です。しかし、役員同士のかばい合いなどにより会社が責任追及をしないケースがあるため、株主が会社の利益を守るために訴訟を提起できる制度として設けられています。
株主代表訴訟の要件
株主代表訴訟を提起するためには、以下の要件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 株式保有期間 | 6ヶ月以上継続して株式を保有していること(非公開会社では期間要件なし) |
| 保有株数 | 1株以上あれば提起可能(保有割合は問わない) |
| 提訴請求 | まず会社に対して役員の責任追及の訴訟を提起するよう書面で請求すること |
| 待機期間 | 提訴請求から60日以内に会社が訴訟を提起しなかった場合に株主が提起できる |
保有株数にかかわらず提起できる点が特徴的で、たとえば30%の株式を保有する共同創業者でも、わずか数株しか持たない少数株主でも、同じ権利を持っています。
非上場企業における株主代表訴訟
株主代表訴訟は上場企業だけの問題ではありません。非上場の中小企業においても、以下のようなケースで株主代表訴訟が提起されることがあります。
- 共同経営者間の経営方針の対立が深刻化した場合
- 事業承継の過程で後継者と先代経営者の間に利害対立が生じた場合
- 少数株主が経営に不満を持ち、過去の経営判断を問題視した場合
非公開会社(株式の譲渡制限がある会社)では、6ヶ月の株式保有期間要件が適用されないため、株主になった時点で代表訴訟の提起が可能です。
株主代表訴訟で問われる責任
株主代表訴訟で主に問われるのは、以下のような役員の責任です。
- 善管注意義務違反による経営判断の失敗
- 忠実義務違反(利益相反取引など)
- 法令違反行為
- 監視・監督義務の懈怠
D&O保険との関係
株主代表訴訟はD&O保険(会社役員賠償責任保険)の主要な補償対象です。訴訟にかかる弁護士費用(争訟費用)と、敗訴した場合の損害賠償金がカバーされます。訴訟が長期化すると弁護士費用だけでも数千万円に上ることがあり、個人の資産では対応が困難なため、D&O保険による備えが重要です。
参考文献
- e-Gov法令検索 - 会社法(平成十七年法律第八十六号)第847条 - 株主代表訴訟の法的根拠
- 法務省 - 会社法の概要 - 会社法の基本的な枠組みの解説
- 金融庁 - コーポレートガバナンス・コード - 株主の権利保護に関する原則
