保障・給付(はんそん)

半損(大半損・小半損)とは

一言でいうと

地震保険における損害認定区分のうち、全損と一部損の間に位置する損害の程度を示す用語。2017年1月の制度改定で従来の「半損」が「大半損」と「小半損」に細分化され、大半損は保険金額の60%、小半損は30%が支払われます。建物の主要構造部の損害割合や焼失・流失した床面積割合に基づいて判定されます。

半損とは

半損とは、地震保険における損害認定区分の一つで、全損には至らないものの一部損を超える程度の損害を指す用語です。2017年1月1日以降に始期を迎える地震保険契約では、従来の「半損」が「大半損」と「小半損」の2区分に細分化されました。現在の地震保険では「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分で損害が認定されます。

地震保険は、地震・噴火・津波を原因とする建物や家財の損害を補償する制度です。火災保険が実際の損害額を支払う「実損払い」であるのに対し、地震保険は損害の程度を区分ごとに判定し、保険金額の一定割合を定額で支払う仕組みとなっています。この損害認定基準はすべての損害保険会社で共通であり、どの保険会社で契約しても同じ基準で判定されます。

大半損と小半損の判定基準

大半損と小半損は、建物と家財でそれぞれ異なる基準によって判定されます。

建物の判定基準

建物の損害認定は、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根など建築基準法施行令第1条第3号に定める構造耐力上主要な部分)の損害割合または焼失・流失した床面積の割合で判定します。

損害区分主要構造部の損害額(時価比)焼失・流失した床面積(延床面積比)
全損50%以上70%以上
大半損40%以上50%未満50%以上70%未満
小半損20%以上40%未満20%以上50%未満
一部損3%以上20%未満床上浸水または地盤面より45cm超の浸水

大半損は主要構造部の損害額が建物の時価の40%以上50%未満、または焼失・流失した床面積が延床面積の50%以上70%未満の場合に認定されます。小半損は主要構造部の損害額が時価の20%以上40%未満、または焼失・流失した床面積が延床面積の20%以上50%未満の場合に認定されます。

家財の判定基準

家財の損害認定は、所有する家財を「食器陶器類」「電気器具類」「家具類」「衣類寝具類」「身回品その他」の5区分に分類し、それぞれの損傷状況から家財全体の損害割合を算出して判定します。

損害区分家財の損害額(時価比)
全損80%以上
大半損60%以上80%未満
小半損30%以上60%未満
一部損10%以上30%未満

支払保険金の割合

損害区分ごとに、地震保険金額に対する支払割合が定められています。

損害区分支払割合支払限度額
全損保険金額の100%時価額が限度
大半損保険金額の60%時価額の60%が限度
小半損保険金額の30%時価額の30%が限度
一部損保険金額の5%時価額の5%が限度

たとえば地震保険金額が1,000万円の場合、大半損と認定されれば600万円、小半損であれば300万円の保険金が支払われます。旧制度の「半損」では保険金額の50%が支払われていたため、大半損は従来より手厚く、小半損はやや低い支払割合となっています。

2017年改定の経緯

2017年1月1日の改定以前、地震保険の損害区分は「全損」「半損」「一部損」の3区分でした。半損では保険金額の50%、一部損では5%が支払われていましたが、半損と一部損の間には支払保険金に大きな開き(45ポイント差)がありました。

この格差を是正し、損害の実態により近い保険金を支払えるようにするため、地震保険に関する法律施行令の改正により「半損」が「大半損」(60%)と「小半損」(30%)に細分化されました。これにより、各区分間の支払割合の差が縮まり、被災者の生活再建をよりきめ細かく支援できる仕組みとなっています。

なお、損害認定は保険会社の鑑定人が現地で建物の主要構造部の損傷状況を調査して行います。実際の修理費用ではなく、建物の時価に対する損害割合で判定される点に注意が必要です。

参考文献

  1. 財務省 - 地震保険制度の概要 - 地震保険の損害区分と2017年改定の制度的枠組み
  2. 日本損害保険協会 - 地震保険の解説 - 損害認定基準と保険金支払割合の概要
  3. 損害保険料率算出機構 - 地震保険基準料率 - 地震保険の基準料率と損害区分の算出根拠
  4. 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A 地震保険 - 建物・家財の損害認定基準の詳細