超過保険とは
一言でいうと
超過保険とは、保険金額が保険の対象の実際の価値(保険価額)を超えている状態のことです。超過部分の保険金は支払われず保険料が無駄になるため、保険法では善意無重過失の契約者に超過部分の取消権を認めています。
超過保険とは
超過保険とは、保険金額(契約で設定した金額)が保険の対象となる建物や家財の実際の価値(保険価額)を超えている状態をいいます。たとえば、時価2,000万円の建物に3,000万円の保険金額を設定した場合、1,000万円分が超過した状態です。
損害保険には「利得禁止の原則」があり、保険金の支払いによって実際の損害額を超える利益を得ることは認められていません。そのため、保険金額が保険価額を上回っていても、支払われる保険金は実際の損害額が上限となります。超過している分の保険料はいくら支払っても補償には反映されず、無駄な出費となります。
保険法による超過部分の取消制度
保険法第9条では、損害保険契約の締結時に保険金額が保険価額を超えていたことについて、保険契約者および被保険者が善意でかつ重大な過失がなかった場合、保険契約者はその超過部分について契約を取り消すことができると定めています。取消しが認められた場合は、契約の始期に遡って超過部分に相当する保険料の返還を請求できます。
ただし、保険価額についてあらかじめ一定の金額を約定している場合(約定保険価額がある場合)には、この取消しの規定は適用されません。
全部保険・一部保険との違い
保険金額と保険価額の関係によって、損害保険契約は以下の3つに分類されます。
| 分類 | 保険金額と保険価額の関係 | 保険金の支払い | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 全部保険 | 保険金額 = 保険価額 | 損害額がそのまま支払われる | 最も適正な状態 |
| 一部保険 | 保険金額 < 保険価額 | 比例払いにより減額されることがある | 十分な補償を受けられない |
| 超過保険 | 保険金額 > 保険価額 | 保険価額が支払いの上限となる | 超過分の保険料が無駄になる |
全部保険は保険金額と保険価額が一致しており、損害額がそのまま保険金として支払われる最も合理的な契約形態です。一部保険では損害額の一部しか補償されないリスクがあり、超過保険では余分な保険料を負担することになります。
超過保険を避けるには
保険価額を正しく把握する
保険の対象となる建物や家財の価値を正確に把握することが出発点です。評価方法には「新価(再調達価額)」と「時価」があり、現在の火災保険では新価基準が主流です。新価とは同等の建物を新たに建築するために必要な金額、時価とは新価から経年による消耗分を差し引いた金額を指します。
建物の評価に土地代を含めない
建物の保険金額を設定する際、不動産の購入価格をそのまま使うと土地代が含まれてしまい超過保険になりやすくなります。火災保険の対象は建物と家財であり、土地は補償の対象外です。建物部分のみの価額を確認して保険金額を設定しましょう。
他の保険契約との重複を確認する
火災保険や共済など、同じ対象に対して複数の契約に加入していると、保険金額の合計が保険価額を超えてしまうことがあります。加入中の契約を一覧にして重複がないか確認することが大切です。
定期的に契約を見直す
建物の価値は経年により変動します。新築時に適正だった保険金額が、年月の経過とともに保険価額を上回り超過保険になっている場合もあります。契約更新のタイミングなどで保険金額を見直し、保険価額に見合った金額に調整しましょう。
参考文献
- 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A 火災保険 問56 - 超過保険・一部保険・全部保険の定義と保険金支払いの仕組み
- 日本損害保険協会 - 損害保険について(利得禁止の原則) - 損害保険における利得禁止の原則と実損てん補の考え方
- e-Gov法令検索 - 保険法(平成20年法律第56号) - 保険法第9条(超過保険における超過部分の取消し)
- 損害保険ジャパン株式会社 - 火災保険ご加入時のポイント - 保険金額の適正な設定方法と評価額の考え方
