物件の分類とは
一言でいうと
火災保険における建物の使用用途による区分のこと。住宅物件・一般物件・工場物件・倉庫物件の4つに分類され、物件種別ごとに加入できる保険商品、保険料の算出方法、補償内容が異なります。契約時に正しい物件種別を申告することが求められます。
物件の分類とは
物件の分類とは、火災保険において建物の使用用途に基づいて物件を区分する仕組みです。建物の用途によって火災のリスクは大きく異なるため、損害保険料率算出機構では物件を4つの種別に分けて火災保険の参考純率を算出しています。
火災保険の契約時には、建物がどの物件種別に該当するかを正しく申告する必要があります。物件種別の判定を誤ると、適切な補償が受けられなかったり、保険金が支払われない場合があるため注意が必要です。
4つの物件種別の比較
火災保険では、建物の用途に応じて以下の4種別に分類されます。
| 物件種別 | 主な用途 | 具体例 | 対象となる保険商品 |
|---|---|---|---|
| 住宅物件 | 居住専用 | 戸建て住宅、分譲マンション、賃貸アパート | 住宅火災保険、住宅総合保険 |
| 一般物件 | 店舗・事務所・併用住宅など | 飲食店、小売店、美容室、病院、事務所、ホテル、併用住宅 | 普通火災保険(一般物件用)、店舗総合保険 |
| 工場物件 | 製造・加工 | 動力50kW以上、電力100kW以上、または常時作業人員50人以上の工場 | 普通火災保険(工場物件用) |
| 倉庫物件 | 貨物・商品の保管 | 倉庫業者が顧客から預かった物品を保管する倉庫 | 普通火災保険(倉庫物件用) |
各物件種別の定義
住宅物件
住宅物件とは、住居のみに使用される建物とその建物に収容される家財を指します。戸建て住宅だけでなく、分譲マンションの専有部分や賃貸住宅も含まれます。居住用の建物であれば、一戸建て・共同住宅を問わず住宅物件に該当します。住宅物件では構造級別がM構造・T構造・H構造の3区分で判定されます。
一般物件
一般物件とは、住宅物件・工場物件・倉庫物件のいずれにも該当しない建物です。具体的には、店舗、事務所、飲食店、美容室、病院、診療所、ホテル、旅館、学校、小規模の作業場などが該当します。オフィスビルや学校など、住宅以外の幅広い建物がこの種別に含まれます。
工場物件
工場物件とは、動力や電力を大量に使用し製品の製造・加工などを主として行う建物のうち、一定規模以上の設備を有する工場敷地内の施設です。具体的には、工業上の作業に使用する動力の合計が50kW以上、電力の合計が100kW以上、または常時の作業人員が50人以上のいずれかに該当する工場が対象となります。食品加工工場や化学工場などが該当します。
倉庫物件
倉庫物件とは、倉庫業者が顧客から預かった物品を保管するための建物です。営業用の倉庫が該当し、収容される保管貨物も含めて倉庫物件として扱われます。
分類による保険料と補償内容の違い
保険料の違い
物件の分類が異なると火災のリスク度合いが変わるため、保険料に差が生じます。住宅物件は火災リスクが比較的低いため保険料が抑えられる傾向にあります。一般物件は事業活動に伴うリスクがあるため、住宅物件と比べて保険料が高くなります。工場物件や倉庫物件は、扱う物品や作業内容によってリスクがさらに異なるため、個別に保険料が算定されます。
補償内容の違い
住宅物件向けの火災保険は、建物と家財を補償対象とし、火災、落雷、風災、水災、盗難など幅広いリスクに対応した商品が多く提供されています。一般物件向けの火災保険は、建物に加えて設備・什器や商品・製品も補償対象にでき、事業を営む上で必要な財産を包括的に保護できるのが特徴です。
併用住宅の扱い
自宅の一部を店舗や事務所として使用する「併用住宅」は、住宅物件ではなく一般物件として扱われます。たとえば1階が店舗で2階が住居といった建物は、一般物件用の火災保険に加入する必要があります。住居部分と事業部分が同一建物内にある場合、建物全体が一般物件に分類される点に注意が必要です。
用途変更時の通知義務
火災保険の契約後に建物の用途が変わった場合、保険契約者は遅滞なく保険会社に通知する義務があります。たとえば、住居専用だった建物で事業を始め併用住宅に変わった場合や、逆に事業をやめて住居専用に戻った場合が該当します。
日本損害保険協会によれば、建物の構造・用法の変更は通知事項に該当し、保険契約者または被保険者は変更があった事実を遅滞なく保険会社に通知しなければなりません。通知を怠ると、危険の増加があったとみなされ、保険金が支払われなかったり契約が解除される可能性があります。用途が変わった際は速やかに保険会社や代理店に連絡しましょう。
参考文献
- 損害保険料率算出機構 - 火災保険参考純率 - 物件種別ごとの火災保険参考純率算出の解説
- 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A すまいの保険 問59 - 火災保険の告知義務・通知義務の解説
- 損保ジャパン - 専用住宅物件・併用住宅物件・一般物件とは? - 住宅物件と一般物件の定義
- 日本損害保険協会 - 損害保険Q&A 損害保険の契約について - 損害保険契約における告知義務と通知義務
